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【NIE】

<学校と新聞>熊本地震から2年 つらい経験から思いやり芽生え

熊本地震の新聞切り抜きや関連書籍を集めたコーナー

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 二年前の四月十四日午後九時二十六分。そして、十六日午前一時二十五分。最大震度7の激震が襲った熊本地震から、当たり前の日常が一変しました。

 あれから二年。余震のたびにまた大きな揺れが来るのではと不安になったり、真夜中の大きな揺れを思い出して眠れなかったりした日々の記憶はやや薄れてきたような気がします。生徒たちとの会話の中でも震災の話題は少なくなりました。震災直後に被災家屋の片付けを手伝ったり、役所に届く支援物資を仕分けたりと中心となって動いていた生徒のほとんどは卒業し、中学高校で当時の学校の被災状況を知っているのは新三年だけになりました。

 年度当初の図書室利用のオリエンテーションでは、この二年間、地震について触れてきました。金具で留めてあった本棚が倒れたこと、本棚にあった本のほとんどが落ちたこと、地震発生が昼間だったら命を落とした人がいたかもしれないことなどを話し、地震が起きたらどうするか、本は落ちてきたら凶器になること、その本を開いて頭を覆えば命を守る利器になること、などを伝えています。

 震災後は、関連の新聞記事をスクラップにしたり廊下に貼ったりして、被災地の現状や復興の状況を伝えてきました。震災関連の縮刷版やフォトグラフ誌などが発刊されると「震災コーナー」に並べ、生徒たちの目に届くようにしました。今も時折、本を開き、見ている姿があります。私たち被災地に生きる者として、生きていく者として、決して忘れてはならない、目を背けてはならないことですから、その姿をそっと眺めています。

 震災からもう二年、いやまだ二年。生徒たちの中には震災でいろいろ失った子もいますが、震災のおかげで気づいたこともありました。それは人の温かさ、思いやりの心、友情です。つらい経験をした生徒たちですが、素晴らしい感性が芽生えました。

 十四日と十六日の地元紙は、震災関連記事を大きく扱っていました。二十年後の未来を担うのは彼らです。復興していく街の姿と彼らの未来を重ねつつ、記事に見入る生徒たちの背中に「頼むよ」と心の中でつぶやきました。 (学校司書 藤枝友香)

 

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