東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 放送芸能 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【放送芸能】

美容表現の地平を拓く 資生堂・原田さん 漫画キャラ全身実写化

 漫画のキャラクターをモデルで実写化する「三次元化」で注目を集めるアーティストがいる。資生堂「トップヘア&メーキャップアーティスト」の原田忠さん(44)。五年前に人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社)のキャラクターを三次元化し、その後も次々と作品を発表、話題となった。ヘアメークの「その先」に原田さんは何を見つけたのか。コスプレでも特撮でもない「美容表現の可能性」を追求する。 (竹上順子)

 「ヘアメークは、普段は(胸から上の)バストアップの世界。頭のてっぺんから足の先まで、ヘアメークとファッションで表現したいと考えた」

 航空自衛隊出身という異色の経歴を持つ原田さんは退官後、美容師を経て、二〇〇〇年に資生堂に入社。一〇年に同社が美容分野の社員向けに設けた「社内大学院」の一期生に選ばれた。美容技術や知識の習得に加え、求められたのが「自分の進む道を明確にし、どう向かうかを考える」こと。美容表現の可能性を広げたいと考えた原田さんは、キャラの三次元化を思い立ったという。

 題材に選んだのは、以前から内容もファッションも好きだった漫画「ジョジョ」シリーズから、第四部の主人公「東方仗助(ひがしかたじょうすけ)」。顔見知りのスタイリストとカメラマンに声をかけ、撮影の約一カ月前には、作品イメージを「コンセプトシート」にまとめた。

 重量感のあるリーゼントヘアは、三つ編みした人工毛をかごのように編んで作った。撮影当日は三人の感性をぶつけ合うようにモデルのポーズを決め、衣装を調整、リアルとファンタジーの境界にいるようなキャラクターが完成した。「漫画そのままではないが、原作へのリスペクトが感じられるようにした」

 二年で大学院を修了した原田さんだが、その後も多忙な仕事の合間に制作を続け、五年間で「ジョジョ」のキャラクター二十三人を三次元化。制作過程では、作品の世界観や方向性を示す「ディレクション」と、ヘアスタイルの創造に力を入れた。三つ編みの人工毛をニット編みして、帽子と上着が一体化したような「衣装」を作ったことも。「妻から棒針編みを習ったときは『何やってるの?』という感じでしたね」と笑う。

 一三年には東京・中目黒で個展を開き、ウェブでも作品を発表、世界中から反響が寄せられた。その人気に注目した集英社が一四年に「女性ファンを増やしたい」と、SF漫画「テラフォーマーズ」の三次元化を依頼。原作には不気味な描写も多く、原田さんは「やりすぎの一歩手前でビューティーに昇華させた」。男女二人のキャラクターをモデルで三次元化し、撮影した写真にはコンピューターグラフィックスも駆使。女性キャラの作品は雑誌のグラビアページに掲載され、大きな話題を呼んだ。

 海外ファッションショーでのヘアメークなどの仕事に加え「三次元化に取り組んだことで表現の幅が広がり、テーマパークのクルーのヘアメークや、アイドルグループのプロモーションビデオの演出など、異業種とのコラボレーションが進んだ」と原田さん。現在は新たな三次元化作品は作っていないが「見た人の間にコミュニケーションが生まれたり、元気が出たりするとうれしい」と話した。

 <ジョジョの奇妙な冒険> 荒木飛呂彦氏が1987年に「週刊少年ジャンプ」で連載開始。時代を超えて闇の力と闘う一族の物語で、現在は第8部が「ウルトラジャンプ」で連載中。単行本はシリーズで115巻発行。累計発行部数は9000万部を超える。今春、第4部がTVアニメ化される予定。

 少年漫画でありながら大人向けともいえるホラーサスペンス調の作風に加え、数々の名せりふや「ジョジョ立ち」と呼ばれる印象的なポーズ、独特な擬音も人気となっている。

 <テラフォーマーズ> 原作・貴家悠(さすがゆう)氏、作画・橘賢一氏。火星の環境を地球化する「テラフォーミング」計画のため放たれ、人型に進化した“ある生物”と、その駆除のために特殊な手術を施された人々との戦いを描くSF漫画。2011年に「ミラクルジャンプ」で連載開始。単行本は15巻まで発行され、累計発行部数は1400万部超。三池崇史監督による実写映画が4月29日に公開される。

 

この記事を印刷する

PR情報