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【放送芸能】

夢が世界を変える 映画「小さな園の大きな奇跡」 エイドリアン・クワン監督

 昨年の香港映画で興行収入1位となった「小さな園(その)の大きな奇跡」が5日に公開される。香港映画お得意の派手なアクションや銃撃戦はないものの、閉園危機にある幼稚園の子どもたちのために奮闘する女性の実話を基にした“泣ける映画”だ。メガホンを取ったのは、香港の新鋭エイドリアン・クワン監督(49)。ニュースで園と女性のことを知り、どうしても自ら映画にしたかったという監督に聞いた。 (深井道雄)

 資金難で閉園の危機にあった元岡(ユンコン)幼稚園のニュースを、監督が知ったのは二〇〇九年春。日本同様、出生率が下がり続けている香港では、都会の名門幼稚園に入園希望が集中し、地方では幼稚園の廃園が相次いでいたという。

 クワン監督は、家庭の事情で転園できない五人の園児のために、破格の安い給料で園長を引き受けた女性のことを知り、興味を持った。しかも女性は都会の有名幼稚園の元園長。「なぜ、そんなに大変なことができるんだろうと、ずっと感心していた。でも、どこか理解できない感じがしていた」と振り返る。

 一三年七月、監督は映画会社の友人に誘われ、元岡幼稚園にルイ・ライホン園長を訪ねた。「園の再生のため、ルイ園長がしてきたことを聞いて、とても感動した。自分を犠牲にしてもやり遂げるという園長の情熱が強く伝わってきて、ぜひ映画にと思うようになった」とクワン監督は明かす。そのころ、映画製作の一方で貧困家庭や障害者を支援するチャリティー活動を続け、貧困層の生活を間近で見てきたことも、監督の理解を助けたという。

 監督の思いは周囲の映画関係者を動かし、香港を代表するトップシンガーのミリアム・ヨンや、香港で最も売れているアクション俳優ルイス・クーが出演を快諾。四百人の中からオーディションで選ばれた五人の子役のあどけない表情や自然な演技も観客をスクリーンに引きつける。

 映画のヒットで、香港では設備の整った高級幼稚園より、職員の熱意や子どもを愛する気持ちが大切と気づいた人も多いという。ルイ園長は今も元岡幼稚園で働き、園児数は約七十人に増え、数十人が入園の空きを待っているという。クワン監督は言う。「夢を持ちましょう。その夢を通して世界は変わると思うのです」

 <あらすじ>都会の有名幼稚園の園長だったルイ(ヨン)はエリート教育に疲れ果て、退職する。夫のドン(クー)と世界旅行を計画していたある日、地方の幼稚園が資金難のため代理教員1人を残し、職員全員が辞職し、園長を募集していることをテレビニュースで知る。月給は4500香港ドル(約6万円)。普通の幼稚園の6分の1から8分の1の安さで、しかも園長といえ、清掃や雑用も1人でやらなければならない重労働だ。家庭の事情で5人の園児が転園できずにいたが、園長が決まらなければ閉園になるという。

 

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