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【放送芸能】

大女優メリル・ストリープ 名?歌姫に 映画「マダム・フローレンス!夢見るふたり」

 今年の東京国際映画祭の開幕作品「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」(スティーヴン・フリアーズ監督)が12月1日に公開される。主演はアカデミー賞ノミネート19回、受賞3回の大女優メリル・ストリープ(67)。米音楽の殿堂カーネギーホールを満員にした実在の音痴の歌姫を演じた。「同じ状況でも私なら公演はしません。カーネギーへの尊敬の念が邪魔をしてね」。穏やかな笑みをたたえて話す。 (鈴木学)

 物語の舞台は、1944年のニューヨーク。ストリープが演じるのは、音楽を愛し、歌手を夢見ながらも自らの音痴に気付いていない資産家女性のフローレンス。そんな妻を愛する夫を「ノッティングヒルの恋人」などの“ロマンチックコメディーの帝王”ヒュー・グラントが演じる。

 あらすじだけ読めば、金持ちの道楽が過ぎた単なる“イタい”女性だが、それがスクリーンではとてもチャーミングに見える。

 「少女の純真さが大事でした。ただの音痴なら、皆帰ってしまう。喜びが内からあふれるような歌なので人々もいい気分になれたのでしょう」。映画「マンマ・ミーア!」などでは高い歌唱力を見せたが、今回は2カ月のトレーニングでオペラのアリアをきちんと歌えるようにした上で音程を崩したという。

 スクリーンから伝わる夢の尊さ。そこにはマスコミを買収したり、理解者だけを集めてリサイタルを開いたり、重い病を抱えながら夢を追う妻を支える夫が重要な役割を果たす。ストリープは、フローレンスがそんな夫への愛を伴奏者のピアニストに打ち明けるシーンに最も情熱を注いだという。

 「小さなシーンなんだけど、彼女はピアニストのアパートでお皿を洗いながら、俳優だった夫と出会ったころの話をします。夫をどんなに愛しているかを明かす一方で『でもね、いい役者ではないのよ』とも。夫が彼女を酷評する新聞を彼女の目につかないようにするのと同じように、彼女も実は夫に対する酷評を隠す。互いに相手を守っていることが分かるんです」

 実在のフローレンスは太平洋戦争の真っただ中にカーネギーホールに立ち、その1カ月後に亡くなった。「他の人には戦争の新聞記事の方が重要だったでしょうが、彼女にとっては自分の音楽評が大切。芸術が軽視される世の中は、よくないことが起きている時。現代も危ういと思わせるところがあると思います」。しみじみと語る。

 

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