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【放送芸能】

劇団四季 新作は聖と性・大人のドラマ 「ノートルダムの鐘」

 文豪ビクトル・ユゴーの代表作「ノートルダム・ド・パリ」を原作とする劇団四季の新作ミュージカル「ノートルダムの鐘」が11日から東京・浜松町の四季劇場「秋」で上演される。前作「アラジン」に続き6作目となるディズニーとの提携作品だが、ファンタジー色のある従来の作風とは趣を異にする重厚な作品。原作に忠実なシリアスな筋立てで、宿命に翻弄(ほんろう)される深く美しい人間ドラマが描かれる。 (安田信博)

 舞台は十五世紀末のパリ。醜い容貌のため大聖堂に閉じ込められた鐘突き男のカジモド、彼を世話する聖職者フロロー、そして警備隊長フィーバス。この三人を虜(とりこ)にするのがロマ(ジプシー)の踊り子エスメラルダだ。ヒロインのエスメラルダを、公募オーディションで約二百人の中から選ばれた岡村美南と宮田愛がダブルキャストで演じる。

 岡村は富山県出身。米国の大学の音楽科を卒業し、二〇〇九年初舞台。「ウィキッド」を皮切りに「クレイジー・フォー・ユー」「ウェストサイド物語」などで次々にヒロインの座を射止めている。一方、宮田は東京都墨田区出身。大学では舞踊学を専攻。一一年に初舞台。一四年に「美女と野獣」のヒロインに大抜てきされ「クレイジー〜」でも岡村とのダブルキャストでヒロインを演じた。

 「役柄を客観的にとらえられるので、ダブルキャストはとても勉強になります」と岡村。これに対し、宮田は「私は岡村さんからは盗むことだらけです」と笑顔で応じる。

 今作で、エスメラルダが初めて大聖堂の中に入り、神に向かって「神よ 弱き者を救いたまえ」を歌う場面は、疎外された人々の救済を求めるヤマ場の一つで、清らかな彼女の精神性を象徴するような楽曲だ。高い歌唱力や表現力が求められる。

 岡村は「エスメラルダは無償の愛、祈りをささげる慈愛に満ちた女性。私のあこがれです」と役にほれこむ。宮田は「曲も本当に美しくすばらしい。彼女の感情の高ぶりを全身全霊で表現したい」と意気込む。

 情熱的な踊りとダンスナンバー「タンバリンのリズム」で三人の男性を翻弄(ほんろう)する登場シーンも見せ場だ。「歌いながらの踊り。それを喜びの表情でやるのは結構きついんです」と宮田は苦笑する。一方の岡村は「演出家からは“性をむきだしに”と言われました。性、性欲との葛藤はこの作品のテーマの一つです」と話した。

 聖歌隊(総勢十六人)を舞台上に終始とどまらせ、作品の世界観を象徴するような簡素な舞台装置。演劇的なつくりが色濃い今作は、観客のすそ野の広がりを狙った四季の“野心作”であると同時に、俳優としての真価が試される舞台でもある。

 東京公演は来年六月二十五日まで。問い合わせは、劇団四季東京オフィス=(電)03・5776・6730。

 <ノートルダムの鐘> ディズニー・シアトリカル・プロダクションズが制作し、2014年に米サンディエゴで初演。脚本はピーター・パーネル。音楽はディズニー版長編アニメ(1996年)に続き、スティーブン・シュワルツ作詞、アラン・メンケン作曲。シュワルツを父に持つ演出のスコット・シュワルツは「ユゴーの世界観はシニカルで悲観的だが、その中核にある瞬く淡い光のような希望を表現したい」と話す。

 

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