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監視社会の脅威 映画「スノーデン」あす公開

 ベトナム戦争や歴代の米大統領を題材にした骨太の作品で知られるオリバー・ストーン監督(70)の最新作「スノーデン」が二十七日公開される。あらゆる個人さえも対象とする米政府の監視プログラムを暴露した情報機関職員エドワード・スノーデン氏の内部告発は、誰もがプライバシーの危機にさらされている事実を明るみに出した。トランプ大統領誕生の過程でも、さまざまな真偽不明の情報に世界は踊らされている。いまスノーデン事件から何が見えるのか。 (浜口武司)

 「スノーデンとは亡命先のモスクワで、この二年間に九回会って話を聞いた。彼の視点から語られる物語を映画にしようと思った」

 二〇一三年六月、英ガーディアン紙などが報じたスノーデン氏の告発に監督は拍手喝采を贈ったという。「その半年ほど前、私はドキュメンタリー作品でオバマ政権で強化されてきた監視社会を取り上げた。まさに、その通りのことが起きていたわけです」

 本作では、米国防総省の情報機関である国家安全保障局(NSA)に勤務するスノーデン(ジョセフ・ゴードン=レビット)が、赴任先のジュネーブや東京で世界中のメールやSNS、通話を監視し、膨大な情報を収集している実態を目の当たりにする。同盟国である日本も例外ではなく、インフラ産業のコンピューターにはマルウェア(悪意のあるソフト)が既に埋め込まれており、もし日本が米国に敵対したら、インフラがダウンするようになっていることが明かされる。

 「私個人の考えは作品に一切入れていない。すべてスノーデンが私に語った内容です。NSAからも話を聞こうとしたが、答えてもらえなかった。私の経験からいって彼の言っていることは真実だと思う」

 スノーデン事件に関しては、香港のホテルでスノーデン氏が告発する場面に密着し、アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」がある。ストーン監督は本作で、スノーデン氏の内面を描こうと思ったと打ち明ける。

 「若い愛国者である彼がなぜNSAの任務に疑念を抱くようになったのか。それは対テロの戦いではなかったわけです。世界中の情報を監視することで政治、経済を含むあらゆる力関係で米国が優位に立てる。スノーデンはその危険に気づいた。そして彼が人間性を保てたのは恋人の存在が大きかったと思います」

 米政府に不都合な本作は米国企業の支援が受けられず、フランスやドイツ企業の出資で製作されたと監督は付言する。「米国では自己規制や当局に対する恐怖があるのかもしれない。米政府や主要メディアが伝えることが真実だと思わないでほしい」と話す。

◆主要メディアに一石 トランプ氏を評価

 過激な発言で物議を醸すトランプ米大統領だが、ストーン監督は米情報機関と主要メディアへの不信感から、トランプ氏に「奇妙な形で新鮮な空気を持ち込んだ」と期待をにじませる。

 「トランプに対するヒステリックな報道は、冷戦時代の赤狩り(共産主義者への弾圧)のようだ。ロシアとつながりがあるかのような報道も、彼を大統領にしたくない力が働いたのだと思う。米メディアも新保守主義の権力側にある。トランプは主要メディアに対し新しい見方をしているのは確かだ」と断言する。

 その上で「米国は今、帝国化している。日本は米国をそこまで信頼していいのか。米国はそれほど日本を大切に思っていないかもしれない。日本をどうするかはみなさんが考えることだ」とアドバイスする。

◆オリバー・ストーン監督

 米ニューヨーク生まれ。ベトナム戦争に従軍後、ニューヨーク大学で映画製作を学ぶ。1978年「ミッドナイト・エクスプレス」でアカデミー賞脚本賞。86年「プラトーン」で同作品賞や監督賞など4部門を制し、89年「7月4日に生まれて」で2度目の同監督賞に輝いた。ほかに「JFK」「ニクソン」など。

 

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