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【放送芸能】

毎朝ニッコリ めくってごらん 中学生俳人&漫画家が制作 心ぽかぽか 日めくり

 著名人の格言や名言(迷言?)が並ぶ日めくりカレンダーがブームになっている。書店には特設コーナーができるほど、品ぞろえは多種多様だ。励まされたり、ホッとしたり、思いにふけったり…。一日のほんのひととき「日めくり」の言葉で、自分自身と向き合ってみてはいかが−。(出田阿生(いでたあお))

 大阪府岸和田市の中学生俳人、小林凜(りん)さん(15)の川柳に漫画家西原(さいばら)理恵子さんがイラストを描いた日めくりカレンダーが話題を呼んでいる。タイトルは「学校川柳 ボクとワタシの、毎日をおかしむ発想」。学校をテーマにした三十一日分の句と、西原さんのほのぼのとしたイラストでつづられる。

 たとえば<学校はあまたの選択肢の一つ>。解説として「心底傷つけられることがあってもなお、学校って絶対行かなきゃいけない場所? いや、ぼくらの将来に続くのは一本道じゃない。そんなときは学校から少し離れてみると、心がスッと楽になる」との文が添えられる。

 ユーモアあふれる句も多い。育ち盛りの小林さんの大好物は母がつくる唐揚げ。そこで<カラアゲと母の愛情つまみ食い>と一句。給食の時間、友達に変な顔をして爆笑させた思い出を句にしたのは<にらめっこ牛乳ふいて雪景色>。

 句集『ランドセル俳人の五・七・五』(ブックマン社)などで知られる小林さんは未熟児で生まれ、人一倍体が小さく、小学生のころから過酷ないじめを受けてきた。そんな少年を支えたのが五歳で始めた俳句づくりだった。九歳で全国紙の俳壇に入選した。

 中学校でもいじめは止まらなかった。事なかれ主義の教師もいじめに加担し、毎日が「生き地獄」。小林さんは「学校は、集団の中で従属して生きることを教える場所。その同調圧力で頭がおかしくなりそうだった」と振り返る。「学校という戦場と訣別(けつべつ)して、自宅学習を選ぶ」と決意し、自身のブログに<黄水仙一輪咲きで生きていく>と詠んだ。

 教育雑誌に俳句を連載している縁で、西原さんとのコラボの話が舞い込んだ。以前、西原さんが新聞で、いじめに遭っている子に「とにかく逃げて。仮病を使ってもいいから」と呼びかけているのを読み、共感していた。日めくりにはいじめられている子や家族に届けたい気持ちを込めた。

 「いじめは、弱い者に暴力や嫌がらせをして快楽を得る犯罪。教師も対処しないのなら、その現場から離れるしかない。いじめから生き延びて、悪を許さない社会をつくる大人になってほしい」

◆松岡さん火付け役「生きるヒント」多彩に

 日めくり人気の火付け役となったのは、元プロテニスプレーヤーで解説者の松岡修造さん(49)の「まいにち、修造!」だ。2014年秋に発売されるや、版を重ねて累計126万部の大ヒットとなった。

 暦を毎日破り捨てる365日タイプよりも、年月を問わず、何度でも繰り返し使える31日(1カ月)タイプが売れ筋で、松岡さんのもこちら。

 内容はこんな感じだ。「苦しい時ほど、笑ってごらん」という言葉の横には、松岡さんの微妙に変な笑顔の写真が。思わず脱力して、笑わされる。「くそまじめに説教されると聞く気を失うけれど、これは面白い」(10代女性)というのが人気の秘密のようだ。

 「偶然の結果で、こんなに受けるとは思っていなかった」と出版元のPHPエディターズ・グループの太田修一郎さんは振り返る。同社では1980年代から、創業者松下幸之助さんの格言を集めた日めくりを発行。その後、ヨガのポーズなど実用シリーズを発売した。数年前にスポーツ選手の言葉を出版した流れで、テニスの錦織圭選手の活躍と共に解説者として注目を集めた松岡さんに声を掛けた。

 大手書店の担当者は「松岡さん以来、類似商品が激増した。当初ほどではないが、今年も順調です」と語る。かつては企業の贈答品需要が中心だったが、個人の購入が増えたという。

 芸能人の参入も目立つ。自虐ネタが売りの芸人ヒロシさんの日めくりは「まいにち、ネガティブ。」。熱血・松岡さんのパロディーで「『苦しいときほど笑え!』笑えるくらいなら、とっくに笑っています。」「ピンチはピンチでしかない。」。後ろ向きさに救われる。

 昨年は石原慎太郎さんの著書で再び注目された田中角栄元総理の格言日めくりも。ご長寿シリーズでは、94歳の瀬戸内寂聴さんや102歳の写真家笹本恒子さんが生きるヒントを語る。スティーブ・ジョブズやオードリー・ヘプバーンの格言、「猫めくり」など動物シリーズも健在だ。

 

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