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【放送芸能】

映画「サバイバルファミリー」 小日向文世が愛妻家・家族思いの威張ってばかり…困った父を主演

 威張ってばかりの父親がいざとなると役に立たず、それでも最後は家族のために体を投げ出す−。映画「サバイバルファミリー」に主演する小日向文世は、心の闇をさらけ出す表情も、とぼけた役も自在に操る実力派だ。「人間は滑稽。だけど切ない生き物じゃないですか」。劇団で鍛え上げた演技が脚光を浴びたのは四十代。六十三歳の今も、人間を見つめる温かなまなざしは変わらない。 (住彩子)

 二十二歳で写真学校を卒業するが、ふと将来を考え浮かんだのが役者だった。中村雅俊の付け人を経て、串田和美主宰の劇団「オンシアター自由劇場」に入団。舞台を見たことすらなかったが「日の当たるところでアピールしたかったんだと思う」と明かす。

 テレビや映画の俳優を目指す修業として入団したが、舞台にのめり込んだ。十九年過ごした劇団が役者の原点だ。「人間は愚かで情けない存在。そういう意味で道化に近い。劇団では、そんな発想でキャラクターをつくり、即興で披露していた」。その経験が、役の心までつかむ技を身に付けさせた。

 四十二歳で劇団が解散。連ドラでブレークするまで五年あまりの間、仕事が少なくても「そのうち増える」と思えたのは、劇団で鍛えられ、一つ一つの作品で納得の演技ができた自負があったからだ。

 「サバイバルファミリー」では典型的な仕事人間の父親を演じる。家庭で孤立しているのに気付いていない。できないと分かっていても、亭主関白で大口をたたく。そんな駄目な面が、電気が止まる非常事態であらわになる。「隠そうとしてるけど、見えている。まさに道化です」と笑う。

 対照的に素顔の小日向は愛妻家で家族を大切にする。毎晩、息子たちを抱き締めてから寝る習慣は有名だ。「明日、何が起きるか分からない。今生の別れかもしれないと思って」

 人は誰しも完璧ではない。秘密の癖や押し殺した感情がある。そんな隠された部分をフッと見せることが演技の真骨頂だと思う。「いい人だけじゃなく、ずるくていやらしい人を演じるのも面白い。でも、どんな人間もみな必死に生きている。だから感動するんです」。人間の内面への深い洞察が、見る者の心を揺さぶる演技を生む。

<こひなた・ふみよ> 1954年1月23日生まれ。北海道出身。2001年、連ドラ「HERO」で注目を浴びる。昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」では豊臣秀吉役を好演。映画「サバイバルファミリー」は公開中。

 

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