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【放送芸能】

朝8時 戦国時代 視聴率戦線に異状あり!?

 平日朝8時の視聴率競争に異変が起きている。民放4局がワイドショー・情報番組をそろえる中、長らくフジテレビと日本テレビが民放トップの座を争ってきたが、テレビ朝日が割って入り昨年11月からは首位をキープ。出かける準備や家事に追われ、ゆっくりテレビを見ることのできない人も多い時間だが、それだけに役立つ情報、話題には敏感で、視聴者の厳しい選別にさらされている。朝の視聴率戦線に異状あり!? (砂上麻子)

 朝の時間帯はテレビ関係者の間で「視聴習慣を変えるのは難しい」といわれ、ここ数年はNHK連続テレビ小説とそれに続く情報番組「あさイチ」の強力コンビに、民放各局が挑む構図が定着している。

 そのトップを守ってきたのがフジの「情報プレゼンター とくダネ!」と日テレの「スッキリ!!」。テレ朝の「羽鳥慎一モーニングショー」は三番手で、TBSの「白熱ライブビビット」がそれに続いていた。

 ところが、昨年九月の月間平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、「モーニングショー」は7・4%を記録。二〇一五年九月の番組開始以来、初めて民放トップに立った。十月は日テレの後塵(こうじん)を拝したものの、十一月に再び首位を奪うと、今年一月までトップを快走している。

 「モーニングショー」は、前身の「モーニングバード」から引き続き、羽鳥慎一さん(45)が司会を担当。昨年秋に羽鳥さんが話題のニュースを解説する「パネルコーナー」を新設し、視聴率が上昇し始めたという。羽鳥さんは「難しいことを分かりやすく、楽しく、深く伝えることを心がけている。毎朝の打ち合わせのほとんどはこのコーナーの準備に使っている。コーナーの存在が好調の要因の一つ」と手応えを感じている。

 小寺敦チーフプロデューサー(48)は「羽鳥さんが専門家でない分、分かりやすく時間をかけて解説している。『今さら聞けないことを教える』というコンセプトに合っている」と分析。築地市場の豊洲移転問題や韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の知人による国政介入疑惑などはほぼ毎日伝えた。小寺さんは「繰り返し伝えることで、パネルコーナーが始まる午前八時三十分にチャンネルを合わせてもらえる」と話す。

 他局も手をこまねいているわけではない。

 二〇〇六年四月に始まった「スッキリ!!」はニュースのほか、グルメや流行など生活情報に力を入れ、二十〜三十代の女性視聴者を獲得。レディー・ガガなど海外の大物アーティストの生出演も多く、エンターテインメント分野で強さを発揮する。小林景一プロデューサー(52)は「リモコン一つで簡単にチャンネルを替えられる時代。同じニュースでも新鮮な切り口が必要になる」と話す。

 一九九九年四月に始まった長寿番組で、二〇一四年から三年連続で年間視聴率の民放トップを守ってきた「とくダネ!」は、司会の小倉智昭さん(69)のコメントとスタジオでの「プレゼン」を重視。医療や教育などをテーマにした企画も充実させている。杉崎朋子プロデューサー(40)は追う立場となったことを「新しい挑戦ができる今がチャンス」と意欲を見せる。

 「白熱ライブビビット」は一五年三月の放送開始以来、視聴率で苦戦が続く。TOKIO国分太一さんと女優真矢ミキさんが司会。四十〜六十代の主婦層を意識して夫婦問題などを扱う企画で独自色を出す。岡野保チーフプロデューサー(49)は「目指すは下克上」と意気盛んだ。

◆ワイドショーの歴史

 日本初のワイドショーは1964年に始まったNETテレビ(現テレ朝)の「木島則夫モーニングショー」とされる。70年代には各局とも追随、平日午前帯にワイドショーを編成するようになった。

 事件事故から芸能ニュースまで幅広く扱い、生放送で放送時間も1〜2時間と長いことから「ワイド」な「ショー」として「ワイドショー」と呼ばるようになったとされる。

 80〜90年代にかけてはロス疑惑やオウム真理教事件など注目の事件が相次ぎ、取材が過熱。事件関係者への直撃取材が過剰と批判され、モラルの低さも指摘されるようになった。

 オウム真理教による坂本弁護士一家殺害事件(89年)では、TBSの番組が事件のきっかけをつくり社会問題化。TBSは脱ワイドショーを宣言し、96年に情報番組「はなまるマーケット」を始めた。他局も2000年代に入ると、事件事故や有名人のスキャンダルより健康やグルメなど生活情報を重視。「ワイドショー」ではなく「情報番組」と呼ぶことが増えているが、実態は変わらないケースがほとんど。

◆タブーに切り込んで 吉野嘉高・筑紫女学園大教授

 「とくダネ!」の元プロデューサーで、現在は筑紫女学園大学(福岡)の吉野嘉高(よしのよしたか)教授(54)に聞いた。

 −各番組の特徴は?

 「スッキリ!!」は芸能、時事ネタなどの時間配分やポイントの置き方が従来型のワイドショーに近く、「ビビット」は前半が情報番組、後半は情報バラエティーという印象。「とくダネ!」は小倉キャスターの存在感を押し出した番組づくりとなっている。「モーニングショー」は芸能ネタの深追いはせず、時事問題を丁寧に伝えている。

 −朝の視聴習慣を変えるのが難しいといわれるのは、なぜ?

 朝は忙しい。家事をしながら、あるいは出社前の準備をしながら、複数の局の番組内容を吟味してチャンネルを替えることはあまりない。自分に合っていると感じた番組を見続けることが多い。

 −今後、朝の情報番組に求められるものは?

 タブーを破って、時事問題に切り込む姿勢だと思う。例えば、憲法改正に関係するニュースを取り上げるなら、テレビでこれまでタブー視されていた安倍政権と(保守団体で改憲を主張する)日本会議の関係を取材して、裏側にあるストーリーを伝えること。尻込みするのではなく、民主主義や立憲主義の原理原則から論点を提示し、視聴者の知る権利に応えてほしい。

 

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