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【放送芸能】

ラ・ラは何冠? 米アカデミー賞あす発表

 第89回米アカデミー賞が26日(日本時間27日)、ロサンゼルスで発表される。13部門で史上最多タイの14ノミネート(主題歌賞に2曲)を果たし、前評判で圧倒するミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」に、8部門ノミネートの「ムーンライト」と「メッセージ」が意地を見せるか。一方、昨年まで2年連続で演技部門の候補全員が白人で「白すぎるオスカー」と酷評された反動なのか、今年は黒人候補も目立つ。映画コメンテーター有村昆さん(40)とともに、独善と偏見(?)も交えて賞レースを展望する。 (浜口武司)

 「ハリウッドのあるロサンゼルスのことを『ラ・ラ・ランド』って言うんですけど、古き良き四〇年代、五〇年代のミュージカル映画の雰囲気をそのままに描いている。作品賞、監督賞、主演女優賞は取ると思います」。有村さんは強気で推す。

 有村さんが「まさに世代交代」と興奮気味に評するデイミアン・チャゼル監督(32)は、二年前のアカデミー賞で助演男優賞など三部門を制した「セッション」で一躍注目を集めた若手。学生時代から温めてきたミュージカル作品で、満を持しての登場だ。もし監督賞を受賞すれば、一九三一年に「スキピイ」で受賞したノーマン・タウログ監督と並ぶ最年少記録となる。

 チャゼル監督の特徴は、テンポの良さと、カットを入れない「ワンテーク長回し」と呼ばれる撮影法。「ラ・ラ−」でも渋滞の高速道路で大勢の人が一斉に踊る冒頭のシーンや、主人公の二人が丘の上でタップダンスを踊るシーンは何分もカメラを止めず、「緊張感と役者の気迫が伝わる」(有村さん)名シーンだ。

 作品賞で対抗馬に挙がるのが「ムーンライト」。バリー・ジェンキンス監督と原案のタレル・アルバン・マクレイニー氏は偶然にも米フロリダ州マイアミの同じ黒人コミュニティーで育ち、母親が麻薬中毒者で、息子に暴力を振るっていたことも共通。作品には二人の生い立ちがそのまま反映された。

 「二人は大学へ進むことができたが、ほとんどの人は麻薬に溺れて人生を終える。その現実を知ってほしいというアピールです」と有村さんは解説する。映画では黒人男性の同性愛もクローズアップされる。「あれは盛ってる(脚色された)部分です」と笑う。

 SF映画「メッセージ」も“推し”だ。「個人的には一番。ただアカデミー賞は絶対取らない…」と有村さん。巨大な宇宙船が地球上の十二カ所に現れ、各国は独自に宇宙人とコンタクトしようとする。「各国が連携しなければいけないときに、そうはならない。まるで米国第一をいうトランプ政権や英国のEU離脱の動きを予期していたかのような作品です」

 製作過程にドラマがあると、主演男優賞に推すのが「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のケイシー・アフレック。当初オスカー確実とされたこの役に内定していたのはマット・デイモンだったが、過去の監督作品が原因で仕事を干されていた幼なじみのケイシーに役を譲り、自らはプロデューサーに回ったのが本作。「ケイシーの兄ベンもオスカーを取った『アルゴ』(二〇一二年)で復活。兄弟愛がモチーフの本作でケイシーも復活すればドラマですよ」と興奮気味に話す。

 助演男優と同女優賞は、黒人のマハーシャラ・アリとビオラ・デイビスが有力。他には「主題歌賞に注目です」と有村さん。「『モアナと伝説の海』はディズニーが天才を三人も集めて作った曲。『アナと雪の女王』を超えるかもしれません」と目を輝かせる。

◆前哨戦で圧倒

 アカデミー賞の前哨戦で最重視されるゴールデングローブ(GG)賞の作品賞は、ミュージカル/コメディ部門で「ラ・ラ−」、ドラマ部門で「ムーンライト」がそれぞれ受賞し、評判の高さを裏打ちした。「ラ・ラ−」は英国アカデミー賞も受賞。デイミアン・チャゼル監督はGG賞と英国アカデミー賞で監督賞2冠。全米俳優組合(SAG)賞の作品賞には「ヒドゥン・フィギュアズ」に軍配が上がった。

 GG賞、SAG賞、英国アカデミー賞のすべてで評価されたのは、主演女優のエマ・ストーン(「ラ・ラ−」)と助演女優のビオラ・デイビス(「フェンシズ」)。前哨戦は他にも多数あり、有力候補は絞られている。

◆トランプ効果に期待 ジョン・カビラさん

 授賞式を生中継するWOWOWで番組の「案内人」を務めるジョン・カビラさん(58)に見どころを聞いた。 (聞き手・深井道雄)

 今年はトランプ新政権が誕生し、必ず踏み込んだ、もしくは踏み込みすぎた発言が期待できるのではないでしょうか。

 米国は今、新政権への支持、不支持に分かれています。政治的なものに限らず、人種や宗教で人々を分かつのではなく、映画の素晴らしさを共有できるような瞬間があってほしいと思いますし、間違いなくそうなると確信しています。

 昨年は「白すぎるオスカー」との批判がありましたが、今年のノミネートを見ると、監督、主演、助演の男優、女優賞に肌の色の違う人たちがしっかり入っています。それは肌の色に意味があるのでなく、まっとうに作品と演技が評価されたということ。受賞も作品力や演技力で決まると思います。

 授賞式の司会ジミー・キンメルは深夜のトークバラエティー番組の司会者で、必ずや皆さんの期待を超えることをやってくれます。ハリウッド最高の頭脳たちが集まり、せりふや演出を考えてくるはずですから。

 受賞者たちのスピーチはトランプ大統領が喜ぶようなコメントになるとは限らないので、そうしたところの丁々発止は、翌日の大統領のツイートに期待です。なので今年のアカデミー賞は翌日も楽しめますよ(笑)。

 

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