東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 放送芸能 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【放送芸能】

美しきエロスの世界 パク・チャヌク監督 映画「お嬢さん」

映画「お嬢さん」の劇中カット

写真

 「今回は愛やエロスを称賛したいという思いで描いた」。韓国映画の巨匠パク・チャヌク監督(53)の最新作「お嬢さん」が3日公開される。過激な暴力描写で知られる監督が、官能ミステリーに挑む。本作は18歳以上が観賞できる「R18+」に指定されたが、官能的な同性愛などのシーンは息をのむほど美しい。(鈴木学)

 英国の作家サラ・ウォーターズの小説「荊(いばら)の城」を原案に、舞台を一九三〇年代の日本統治下の朝鮮半島に置き換えた。主な登場人物は莫大(ばくだい)な財産を相続した日本人の華族令嬢秀子(ひでこ)(キム・ミニ)と、その財産を狙う詐欺師の伯爵(ハ・ジョンウ)、伯爵に取引を持ちかけられたメイドのスッキ(キム・テリ)、秀子の後見人の上月(こうづき)(チョ・ジヌン)の四人。財産をめぐるだまし合いを、視点を変えながら三部構成で描く。

 献身的なスッキに秀子が少しずつ心を開き、スッキもだますはずの秀子に引かれていく…。スッキの真っすぐさ、秀子の危うさを女優二人が熱演する。「この設定にすると、原作の階級を超えた愛に国の違いという構図も加えられる。“壁”を多くすることで、愛の感動をより深めることができると思った」

 日本語のせりふが三分の一を占め、日本の近代文学専門家と練り上げ、俳優陣には日本語の訓練を四、五カ月間受けてもらったという。「言葉のほかに着物の着方や歩き方も考証した。それでも完璧にするのは難しかった」と振り返る。

インタビューに答えるパク・チャヌク監督=東京都千代田区で

写真

 韓国では成人映画指定ながら四百万人以上を動員した。官能シーンだけでなく二転三転する話にも引き込まれる。ただ、良好とは言えない現在の日韓関係が影を落とす。監督は言う。「相手の立場で考えることが関係改善の助けになる。この映画も日本の人には違和感を持つ場面があるかもしれないけれど、『韓国の視点ではこう見えるのか』と広い気持ちで受け止めてもらえればと思う」

 「オールド・ボーイ」などの復讐(ふくしゅう)三部作をはじめ、バイオレンス作品のイメージが強いが、実際の監督はもの静かで穏やかな印象。本作にも残虐シーンが出てくるが、なぜ暴力を描くのか。「世の中を動かしている力の中で、暴力は重要な位置を占めている。大衆文化の中で描くのを避ける向きもあるが、暴力は明らかに世の中に存在していて、恐怖に満ちたものだということを直視してもらいたいとの思いで描いている」

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報