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【放送芸能】

歌うま飛躍の扉 テレ東「THEカラオケ★バトル」がアツい

 カラオケマシンで歌の優劣を競う−。プロの審査員が出場者を厳正に評価する音楽番組が一世を風靡(ふうび)したひと昔前のテレビならあり得ないような、ユルい「採点番組」が芸能界への扉を開いている。プロやアマチュアを問わず、採点基準はカラオケマシンの点数だけというシンプルさが人気の秘密だ。草分けとして知られるテレビ東京の「THEカラオケ★バトル」からは、続々と“歌うま芸能人”が誕生している。 (砂上麻子)

 二月末、東京都内のスタジオで「THEカラオケ★バトル 春のグランプリ4時間スペシャル」(十五日午後六時五十五分)の収録が行われた。番組関係者が「日本一ゴージャスなカラオケボックス」と胸を張るだけに、巨大なシャンデリアがまぶしい。出場するのは民謡やジャズのプロ歌手とミュージカル俳優などに、アマを交えた二十人。小数点以下の僅差で首位が入れ替わる展開に、司会の堺正章さん(70)も「ハイレベルな戦い」と驚く。

 「カラオケ★バトル」が特番で始まったのは二〇〇六年九月。数回の放送を経て、一四年四月からはレギュラー化(水曜午後六時五十五分)した。J−POPやミュージカル、宝塚などさまざまな分野で活躍するプロが競う「歌の異種格闘技戦」、十八歳以下の歌に自信がある若者が出場する「U−18歌うま甲子園」など、毎回違うテーマで歌のうまさを競っている。

 一五年十月には、過去に活躍した出演者が頂点を競う初の四時間スペシャル「年間チャンピオン決定戦」を放送。決勝進出者七人は「トップ7」とも呼ばれ、まだメジャーデビュー前だった歌手の林部智史さん(28)が初代王者に輝いた。

 これまで採点番組といえば、七十年以上も続く「NHKのど自慢」や、多くの人気歌手を見いだした日本テレビの「スター誕生!」(一九七一〜八三年)のように、厳しいプロの審査を受けるのが常識。「カラオケ★バトル」は単純に機械の採点で優劣が決まり、主観的な要素が入る余地はない。柴幸伸プロデューサー(41)は「すぐに結果が分かるし、機械なら視聴者も納得する」と話す。カラオケ機もこれまで二回リニューアルし、音程だけでなく、抑揚や音を長く伸ばすロングトーンなど、表現に重きを置くようになっている。

 出演者も準備は怠らない。カラオケボックスのあえて点数が出にくい部屋で練習する人や、スタジオで使うマイクと同じメーカーのマイクを用意する人もいる。

 番組で注目され、デビューを果たした人も多い。一四年の初出場以来、百点満点を何度も出すなど“絶対女王”と呼ばれる城南海(きずきみなみ)さん(27)は番組で歌った曲などを集めたカバーアルバムを二枚出した。林部さんは昨年二月「あいたい」でメジャーデビュー。シンガー・ソングライターの二宮愛さん(27)と東京芸大生だった松原凜子さん(25)は、五月から帝国劇場で上演されるミュージカル「レ・ミゼラブル」に出演する。

 「カラオケ★バトル」の成功で、他局も類似番組で追随。番組で歌われた曲はCDが売れることもあり、レコード会社から「新曲を歌ってほしい」と依頼されることもあるという。柴プロデューサーは「プロ、アマを問わず歌のうまい人が本当にたくさんいる。この番組を通して活躍してもらいたい」と話す。

◆ベストアルバムも登場

 つるの剛士さんや林部さんら番組を代表する歌手が参加した「THEカラオケ★バトル」ベストアルバムが昨年12月に発売された。「月のしずく」「白いパラソル」など番組内で歌われたカバー曲を中心に11曲を収録。さらに、昨年11月の特番で初めて「K★Bオールスターズ」が披露したオリジナル曲「Over and Over〜夢は終わらない」も収められている。

 柴プロデューサーは「番組の中でも特にうまいシンガーが、カラオケマシンの得点を度外視して本気で挑んだアルバム。まさに『日本一歌のうまい』ベストアルバムだと確信している」と猛プッシュしている。

◆絶対女王 城南海さん  

 鹿児島・奄美民謡で培った豊かな歌声でこれまで10回優勝している城南海さんに番組の魅力を聞いた。

 −カラオケマシンで採点するというコンセプト。抵抗はなかった?

 長渕剛さんの「乾杯」など大好きな曲を歌って、どんな点数が出るのかワクワクの方が大きかった。初出場で優勝して驚きました。以前は97点台で優勝できたが、今は99点台前半でも優勝が難しいので、レベルが上がっていると感じています。

 −カラオケマシンで歌う難しさは?

 点数重視なので、普段の歌い方とは別物です。音程や抑揚などいろんな技術を使わないと100点は難しい。点数が出やすい声質があるので、そこに近づけるようにしています。

 −練習はどれくらいするの?

 1カ月前から練習を始めます。収録の1週間前から本気モードです。(収録前日の)昨日はカラオケボックスを2時間ずつ3店舗回りました。点数が出やすい部屋と出にくい部屋があるので、出にくい部屋でも100点が出るよう練習します。本番に波を合わせて体調も整えます。小数点以下の点数を競うので、アスリートみたいです。

 −「カラオケ★バトル」の魅力とは?

 歌が好きな人が集まって、本気でぶつかるステキな現場です。みんな勉強熱心で、刺激を受けています。番組で私や奄美民謡のことを知ったという人も多く、島の人から「奄美のことを広めてくれてありがとう」と言われた時は、島孝行ができてうれしかったです。

 

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