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【放送芸能】

「草原の河」に映る人模様 チベット人監督映画 初の一般公開

 中国南西部、標高三千メートルを超えるチベット高原で、半農半牧で暮らす一家を描いた「草原の河」が二十九日から東京都千代田区の岩波ホールで公開される。日本の劇場でチベット人監督の作品が一般公開されるのは初めて。昨年の東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で推薦上映され、ベルリン国際映画祭でも高い評価を受けたソンタルジャ監督(43)に作品に込めた思いを聞いた。(聞き手・深井道雄)

 冬は村で暮らし、春から秋の始まりにかけ、牧畜と畑作、薬草採りのため、草原でテント生活する家族の暮らしをカメラは切り取る。

 デビュー作「陽に灼(や)けた道」が無事に公開され、二〇一一年、北京からチベットの実家に帰省した時、遠縁に当たる六歳のヤンチェン・ラモに出会い、さまざまな物語が浮かんできたことが映画作りのきっかけです。私も小学校入学前は、映画同様の暮らしをしていた。映画に出てくるテントは、実際にヤンチェンの家で使っている物です。

  主役の少女ヤンチェンは、上海国際映画祭でアジア新人賞・最優秀女優賞を最年少で受賞した。

 ヤンチェンら主な出演者はみんな素人です。素人でしか出せない自然さ、純粋さ、素朴な顔立ちに強烈にひきつけられると思う。ヤンチェンはとても勘の良い子で、少し話すと、こちらの撮りたい顔になりましたが、大人たちの方が苦労していました。

  撮影は主に、監督の故郷であるチベット族自治州の同徳県で行われた。標高三千メートルを超える草原地帯で、空気が薄く乾燥し、日差しは強い。夏は短く、冬はマイナス三十度になることもある。

 厳しい自然の中、人々はいろいろな思いを抱きながら暮らしています。河川は季節や天候によって、清流が濁流にもなり、時に凍結し、干上がることもある。環境により様相を違える「河」に人の心模様を重ねました。私は日本映画が好きで、小津安二郎、溝口健二両監督を尊敬しています。これからも両監督のように人と人の心を描いていきたい。チベットの景色があり、伝統文化があり、その中で葛藤する人々がいる。その姿から、チベットへ思いをはせていただければと思います。

 <あらすじ> チベット高原で半農半牧で暮らす幼いヤンチェン・ラモ(役名と同じ)は、父親グル(グル・ツェテン)、優しい母親ルクドル(ルンゼン・ドルマ)の3人家族。ヤンチェンは6歳になってもまだ乳離れができず、母のおなかに赤ちゃんがいることを知り小さな嫉妬心を抱いていた。グルの父親は若いころに文化大革命で無理やり還俗(げんぞく)させられ、改革開放の世になり、家族を捨てて再び修行をやり直していた。グルはそんな父親を許せずにいたが、父親の具合が悪いと聞き、ヤンチェンを連れて会いに行く…。

 

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