東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 放送芸能 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【放送芸能】

あのヒーロー、実写に変身 アニメ少年、今は作り手 熱い魂忘れず

 かつて少年たちをテレビの前にくぎ付けにしたアニメや特撮のヒーローたちが、次々と実写映画で復活している。背景にあるのは、映像技術の進歩で、大人も楽しめる高いクオリティーが実現可能になったことに加え、当時の少年たちが50代になり、今では作り手側の中心となっていることが大きい。ヒーロー大好きだった元少年たちの熱い思いは、現代の子どもたちに届くのか。 (池田知之)

 13日に公開された「破裏拳(はりけん)ポリマー」は1974〜75年に放送されたテレビアニメを、俳優溝端淳平さん(27)の主演で実写化した。放送当時、ブルース・リー主演の香港映画「燃えよドラゴン」が大ヒットしていて、ポリマーを制作したタツノコプロ(東京)もカンフーアクションを作品に取り入れた。主人公は特殊スーツで変身し、最強拳法“破裏拳流”を駆使して悪をバッタバッタと倒していく。シリアスでありながら、独特のコミカルな展開も人気だった。

 映画版ポリマーのエグゼクティブプロデューサーを務めたのは、出版や映画配給を手掛けるKADOKAWA代表取締役専務の井上伸一郎さん(58)。漫画雑誌の編集長などを歴任し、2014年公開の「キカイダー REBOOT」も手掛けるなど、生粋のアニメファンだ。

 「『ガッチャマン』や『新造人間キャシャーン』などタツノコプロのアニメはキャラクターに骨があり、デザインもしっかりしている。ポリマーは肉弾戦も魅力で、今の中高生も楽しめるはずです」と話す。

 アニメ・特撮研究家で、明治大学大学院兼任講師の氷川竜介さん(59)はエポックメーキングな作品として、2004年4月公開の「CASSHERN キャシャーン」を挙げる。「キャシャーンのころからコンピューターグラフィックス(CG)を多用した作品が増えた。デジタル技術の発達で子どもだましではなく、大人も楽しめるようになった」と指摘する。

 タツノコプロの桑原勇蔵社長(51)も、リメークが相次ぐ理由の一つに、CGや特撮(SFX)技術の向上を認める。「表現の幅が広がり、これまで実写不可能なこともできるようになった」と話す。

 04年は「キューティーハニー」と「デビルマン」も実写版で復活。その後も1970年代のテレビアニメや特撮ヒーローを中心にリメークが相次いでいる。

 11年にタレント板尾創路(いつじ)さん(53)の主演でリメークされた「電人ザボーガー」は、悪と戦う青年期と、25年後の熟年期の2部構成で製作。熟年期の悲哀や葛藤も描き、同年の「日本オタク大賞」を受賞するなど話題となった。

 映画版ザボーガーのエグゼクティブプロデューサーを務めたのは、キングレコード専務の傍ら、アニメ企画会社も率いる大月俊倫(としみち)さん(55)。子どものころ、テレビ版ザボーガーに熱中したといい「映画は大ヒットしなかったけれど、撮って良かった、大好きな作品です」と振り返る。

 今月20日公開のイタリア映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」は、1975〜76年に放送された「鋼鉄ジーグ」がモチーフになった。突然、超人的な力を手に入れた主人公が、“ジーグオタク”のヒロインを守る物語だが、ガブリエーレ・マイネッティ監督(40)は日本アニメの大ファン。「鋼鉄ジーグ」はイタリアで79年に放送され、今も熱狂的ファンの元少年・少女たちが大勢いるという。

 「ポリマー」や「キカイダー」に再び光を当てた井上さんは少年のように目を輝かせる。「自分自身、40年前に熱中した作品が見たかった。後世に『こんな面白い作品があったんだよ』と、レガシー(遺産)として残したい」

◆初アクション「奥深い」 「破裏拳ポリマー」主演の溝端淳平

 特撮映画「破裏拳ポリマー」で初めて本格アクションに挑んだ溝端淳平さんはハードな撮影現場を「つらかったんだろうけど…その時はただ楽しかった」と振り返る。

 溝端さん演じる「破裏拳ポリマー」は、透明なマスクから素顔が見える異色のヒーロー。そのため変身後の戦闘シーンも専門の俳優に任せることなく、溝端さん本人が演じた。「人間ドラマの部分も、激しいアクションも、全てを自分でつくり上げるので、やりがいは大きかった」と語る。

 「仮面ライダー」シリーズなどを手掛けた坂本浩一監督の下、四カ月にわたって特訓を積んだ。「鏡を見たり、映像で確認したりしながら一つずつ動きを身に付けていくのはお芝居と同じ」としつつも、技を繰り出した後のわずかな視線の動きで全体の印象が大きく変わることに驚いたという。「アクションの面白さ、奥深さを感じました」

 多くの特撮ヒーローを輩出してきた「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」出身だが「ずっと自分は別路線だと思っていた。役者として新しい挑戦をさせてもらいました」と笑った。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報



ピックアップ
Recommended by