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【放送芸能】

和楽器ってカッコイイ 若者に漫画で広がる

(左から)なずなのねいろ、ましろのおと、この音とまれ!、ごにんばやし、なでしこドレミソラ

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 箏、尺八、三味線といった和楽器を題材にした漫画が若者の間で人気を集めている。「難解」「お堅い」といった邦楽の先入観を払拭(ふっしょく)し、漫画を通して「楽しい」「ワクワクする」といった明るいイメージが広がる。漫画には高校などで和楽器に取り組む若者の姿が生き生きと描かれており、漫画を読んで和楽器を始める若者も増えている。学園漫画の王道が“スポ根”と呼ばれたのも今は昔、これからは“和楽器”かも!? (小林泰介、神野栄子)

 和楽器ブームに火を付けたのが、二〇一〇年から月刊少年マガジン(講談社)に連載中の「ましろのおと」。青森県に住む男子高校生が津軽三味線の名人とされた祖父の死後、上京し悩みながらも“自分の音”を探し求めて成長する姿が描かれる。単行本は十七巻まで発行され、累計発行部数は三百万部を超える。

 著者の羅川真里茂(らがわまりも)さんは青森県出身で、津軽三味線の名人高橋竹山のドキュメンタリー番組を見て、作品の着想を得たという。「私自身も連載を前に津軽三味線を習い始めました」といい、その経験が演奏シーンの描写に生かされる。

 担当編集者は「当時、和楽器を題材にした漫画連載は他になく、面白いと思った。かるたや書道を題材にした『和もの』と呼ばれるジャンルが注目され始めており、下地はあった」と振り返る。「ましろ−」は一二年、文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で優秀賞を受賞。「連載をきっかけに津軽三味線を始めたという読者も増えている」と担当者は話す。

 一二年に月刊「ジャンプスクエア」(集英社)で連載が始まった「この音とまれ!」(アミュー著)は、廃部寸前だった高校箏曲部が全国大会を目指す姿を描く。単行本は十四巻で累計百七十九万部を発行。担当編集者は「アニメ化や実写映画化も前向きに検討している」と鼻息も荒い。さらに一五年には芳文社発行の月刊「まんがタイムスペシャル」が「ごにんばやし」(水瀬るるう著)を、一六年には姉妹誌「−きららフォワード」が「なでしこドレミソラ」(みやびあきの著)を掲載。ともに女子高生による和楽器ガールズバンドを描く。

 「中高生の和楽器への関心が高くなっている実感がある」と話すのは、邦楽愛好者向けのウェブサイト「ほうがくのわ」を主宰する若林宏誌さん(32)。「つらい練習を乗り越え、勝利を目指すのは、まさに漫画の王道要素。題材がスポーツから和楽器に替わっただけでは」と分析する。和楽器とエレキ楽器の編成で一四年にデビューした「和楽器バンド」の成功も追い風になっているといい「和楽器は若者にとって、今やかっこいい存在なんです」。

◆「架空の曲」音で再現

 「この音とまれ!」からは今年3月、バーチャルCD「この音とまれ! 時瀬高等学校箏曲部」が発売された。

 著者のアミューさんは、生田流の箏教室を開いていた母親の影響で姉と共に3歳から箏に触れ、中学時代には全国大会で3位に入賞した腕前。その知見や経験を本業の漫画に生かした。

 作品には古典だけでなく架空のオリジナル曲も登場する。アミューさんは作品で描いた「龍星群」などオリジナル曲の作曲を、母親とプロの箏曲家である姉に依頼。その譜面とプロによる演奏動画を掲載誌のホームページで公開したところ、「龍星群」の視聴回数は80万回を超えた。

 こうした盛り上がりに、キングレコードが注目。漫画に登場する12曲を原作通りの楽器編成で再現し、CDに収録した。このうち古典箏曲の一つ「六段の調(しらべ)」は、登場人物の高校生がたどたどしく弾いたのを、プロの奏者がわざとへたに弾いて再現した。アミューさんは「原作通り細部までこだわってもらい、CD製作に関わった全員の本気が詰まった1枚」と出来栄えに自信を見せる。

 

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