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【放送芸能】

映画館で愛を叫ぶ 「キンプリ」応援上映 大人気

 「君の名は。」や「聲(こえ)の形」など次々とヒット作が生まれる昨今のアニメ映画界で、1年以上もロングランを続けた異色作がある。「KING OF PRISM by Pretty Rhythm(キングオブプリズムバイプリティーリズム)」、通称キンプリ。もともと別のテレビアニメのスピンオフ作品として製作されたが、熱狂的なリピーターに支えられ、第2作も完成。今月10日に公開された。一般の映画とひと味違い、観客席では声援が飛び、ペンライトが振られる。劇場が一体となった「応援上映」が人気の秘密だ。 (鈴木学)

■一体感

 東京・新宿の映画館「バルト9」。キンプリ第二作「−PRIDEプライド theザ HEROヒーロー」の応援上映が公開初日から行われ、約四百席を二十代、三十代の女性が埋めた。キャラクターのせりふに合わせ「そうだ! そうだ!」「いい返事!!」と掛け声が飛び、軽快な音楽に合わせてペンライトが打ち振られる。中にはコスプレの女性もいる。

 製作側もわきまえたもので、一部のせりふに字幕を付けた。観客は登場人物になりきって声に出す“生アフレコ”を楽しめる。キャラクターの問い掛け調のせりふに、観客が勝手に答えてしまうのも応援上映ではお約束という。

 応援上映で生まれる会場の一体感が好きだという会社員、綾さん(30)は山口県宇部市から駆けつけた。前作では全国十一、二カ所を回り五十回ほど観賞した。地域によって方言での声援もあるといい「応援も日々進化していて一回も同じものがない。何回も足を運びたくなる」と話す。リピーターが珍しくないキンプリファンの中には来場二百回という猛者もいるらしい。

■爽快感

 昨年一月九日に全国十四館で公開された第一作は当初、興行成績が伸び悩んだ。同月二十四日に菱田正和監督がツイッターで「もうすぐ上映が終了します」とつぶやいたところ、熱心なファンたちが鋭く反応し、打ち切り阻止に向け、ツイッターなどSNSで来場を呼び掛け。バルト9が「オールナイトイベント」と題して同月二十三日に行った応援上映が評判になって観客も増えたという。その後も断続的に各地で上映され最終的に上映館は百三十館まで拡大した。

 第一作を五十回以上見たという東京都品川区の会社員、いずみさん(32)は「たくさん声を出すので応援上映の後はフワフワした感じ。ストレスが飛んでいく」と効能を説く。茨城県の女性会社員(25)は人気キャラクターの法被を着て新作の初日に駆けつけた。「(キャラクターの)キラメキを見て、愛を叫びたい」と、第一作はやはり五十回以上観賞。「キンプリに出合って楽しさを知ってしまった今は、なくてはならない存在です」

◆応援上映って? アニメ+ライブ 楽しみ方倍増!

 応援上映や、「アナと雪の女王」などで行われた合唱上映など「観客参加型」の観賞スタイルは、一九七五年の英国映画「ロッキー・ホラー・ショー」でせりふを叫んだり、コスプレをしたりしたことに始まるとされる。

 アニメ史研究家の原口正宏さん(55)によると、日本のアニメでは二〇〇五年にスタートした劇場版「プリキュア」シリーズで、〇七年ごろからライトを使った応援が採り入れられた。一〇年公開の「魔法少女リリカルなのは」で行われた絶叫上映に、応援上映の原型を見て取れるという。

 キンプリの場合、物語やキャラクター、声優陣に加え、字幕演出などが複合的に作用し、比較的に経済力や行動力のある女性たちに響き、応援上映の認知度を高めたという。アニメ評論家の藤津亮太さん(48)は、応援上映が音楽ライブのような役割を果たしているとして「アニメのライブ的楽しみ方として定着していくのでは」と話している。

◆菱田正和監督&西浩子プロデューサーに聞く

 −立ち上げはどうだった?

 西 難しかったですね。菱田監督が手掛けた映画「プリズム☆ツアーズ」で来場34回目というお客さんに会ったので、少し減らして会議で「1人20回は見ます」と提案すると、一斉に「ありえねえ」と言われて…。プリズムショーの面白さが伝わって応援してくれたんだと思います。

 −お客さんの姿を見て思うことは。

 菱田 泣いているのを見るともらい泣きしそうになるし、笑っているところを見るとしめしめと思います。感動で涙するはずのシーンで爆笑しているのを見ると複雑ですが、おおむねうれしいですね。

 −勝算はあった?

 菱田 「プリズム☆ツアーズ」でも応援上映はしていますし、これまでの応援上映を見ていてお客さんが劇場でしゃべりたいことが分かった。「アフレコ」という形でトライしたら花開いた感じです。

 −次回作は。

 菱田 2部作で計画したのでやり切った感がある。今は何も浮かばない。

 西 あるとしたら、養成所メンバー7人をメインにした新章ですかね。菱田監督がまた新しいものを作ってくれると思います。

<キンプリ> アイススケートとダンス、歌を融合させたエンターテインメント「プリズムショー」に青春をかける女の子たちを主人公にしたテレビアニメ「プリティーリズム・レインボーライブ」(2013〜14年、テレビ東京)に登場するサブキャラクターの男子3人をメインに据えたスピンオフ作品。16年公開の第1作は興行収入約8億円を記録。今月10日公開の第2作は国内56館(61スクリーン)で公開され、10日間で前作を上回る1億8000万円の興収があった。韓国でも92スクリーンで同日公開された。

 物語は4年に1度の大会「プリズムキングカップ」に向け3人組ユニット「Overオーバー Theザ Rainbowレインボー」(略称オバレ)や、オバレを輩出した養成所に入る一条シンらの奮闘を描く。第2作では、ライバル組織の陰謀で養成所が解散危機に陥る中、大会の幕が開く。

 

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