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【放送芸能】

復讐の裏に真の顔 映画「エル ELLE」 イザベル・ユペール

 フランスを代表する女優イザベル・ユペール(64)の主演映画「エル ELLE」が二十五日に公開される。カンヌで二度の女優賞に輝く演技は言葉の壁を越え、本作は仏映画ながら今年の米アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされた。「米国での成功は特別」。率直な言葉に飾らない性格が表れる。 (住彩子)

 演じたのは、過去を封印した女社長ミシェル。自分のことは自分で決める芯の強い女性だ。感情を表に出さず冷徹に見えるが、内面には葛藤がある。物語は、彼女が暴行事件に遭うところから幕を開ける。

 犯人を捜すため、ミシェルはわなを仕掛ける。「とても近代的な女性。被害者でもなく、単なる復讐(ふくしゅう)者でもない。今までと違う女性像を提示している」と話す。原作を読み「犯人との関係が意外な方向に展開する居心地の悪さや、挑発的な内容にひかれた」と自ら希望して主演を果たした。

 秘めた感情を体全体ににじませる演技はお手のもの。役作りはしない主義だが「役については考えます。例えば衣装とか。何を着るかで姿勢や態度が決まる」と話す。パンツスーツやスカートを使い分け、気持ちや演技を引き出した。

 各国で話題となった性暴力の描写については、冷静に考えている。「一つの寓話(ぐうわ)のように捉えるべき作品。映画は愛や優しさや暗さも描くけど、相手を動揺させる人間の行動を描くことを恐れてはいけない。幻想のようなものだから」。現実世界ではないから、人間の本質を描ける。それこそが映画の本分だという。

 巨匠監督のみならず若手やアジアの作品にも積極的に出演する。「直感で作品を選んできたけど、間違ったことはない」ときっぱり。「何かを演じるときには、勝利者か被害者かということは問題じゃない。作品全体が女性をどう見ているかが大切なんです」

 黒沢明や大島渚監督の作品を見てきた。日本映画の魅力を「人間の内面を描いていて、詩的で豊かなところ」と語る。若手の深田晃司監督らと交流する親日家。ぜひ、日本作品に出てほしいとお願いしたら「もちろん、喜んで」。知的で冷静な表情から一転、キュートな笑顔が返ってきた。

<Isabelle Huppert> 1953年パリ生まれ。仏国立高等演劇学校で学び、71年デビュー。78年「ヴィオレット・ノジエール」と2001年「ピアニスト」でカンヌ国際映画祭女優賞、1988年「主婦マリーがしたこと」と95年「沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇」でベネチア国際映画祭女優賞に輝く。「エル ELLE」でゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)受賞。

 

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