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【放送芸能】

よみがえる「プリンプリン物語」 家庭で眠る400話超 再発掘

 一九八〇年前後に、個性的なキャラクターと異国ムードあふれる設定で人気を博したNHKの人形劇「プリンプリン物語」がBSプレミアム(水曜午後十一時)で再放送されている。全六百五十六話のうち放送初期から中期にかけて三分の二以上の録画テープは、NHKにも保管されていなかったが、視聴者宅などで見つかり再放送が実現した。現在、未発見は三話のみ。あなたの家に幻のテープが埋もれているかもしれない。 (砂上麻子)

 「プリンプリン物語」は一九七九年四月から八二年三月まで平日夕方に放送された十五分番組。主人公のプリンセス・プリンプリンがまだ見ぬ祖国や両親を捜し求め、仲間と旅をする。

 歌手石川ひとみさん(57)がプリンプリンの声を担当し、石川さんの歌う主題歌も人気となった。プリンプリンの自称ボーイフレンドのボンボンや、予感があると耳がくるくる回るカセイジンのほか、決まり文句の「知能指数1300!」が流行語になった巨大な頭のルチ将軍など、個性的なキャラクターが数多く登場し、子どもから大人まで幅広い支持を集めた。

 七月に始まった再放送は一回で二話分ずつ放送。担当プロデューサーの鈴木貴靖さん(54)は「放送当時、子どもだった四十、五十代は懐かしさを、若い人は人形劇が新鮮に感じ、反応はいい」と話す。年末まで五十話を放送。その後も反響を見て放送を検討する。

 当時の人気は高かったが、NHKに残っていた放送用テープは第一話と第四百四十三〜六百五十六話(最終回)の二百十五話分だけ。当時のテープは「高級車一台分」と言われるほど高価だったため、NHKでも何度も上書きして使用しており「プリンプリン物語」も八〇年ごろまではテープを保存していなかった。

 二〇〇三年には、テープが残っていた二百十五話分を再放送。そこで「やはり全部発掘したい」との声が高まり、その後、当時のスタッフや番組関係者を対象に発掘作業が始まった。一二年には番組の人形美術を担当した造形作家の友永詔三(あきみつ)さん(72)が三百十二話分を提供。一三年からは視聴者も対象にした「番組発掘プロジェクト」が始まり、一六年八月には当時のプロデューサーの遺族宅で、第一〜二百四十話のテープが見つかった。

 この時点で未発見は十二話分。すると、今年三月には声優神谷明さん(70)も「文化遺産だから」と自宅にあった録画テープを提供、未発見の九話分が埋まった。NHKアーカイブス館長の権田裕巳さん(51)は「ここまで発掘できたのは大きな成果」と驚きつつも「なんとか全回を見つけたい」と残る三話の発見に期待を寄せている。

◆残る3話 探しています

 NHKは1981年から組織的、計画的に番組の保存や収集に取り組んでいる。2003年には放送した番組を保存、公開するため「NHKアーカイブス」を埼玉県川口市に設立。その一環として、13年から、番組の出演者やスタッフ、一般の視聴者にも対象を広げ、1970年代以前の番組を探す「番組発掘プロジェクト」を進めている。

 テレビ放送が始まった53年からしばらくは、ほとんどの番組が生放送で、その後も70年代までは大河ドラマや連続テレビ小説でさえ多くは保存されていなかったという。

 NHKアーカイブスの権田館長は「NHKに保存されていない番組や貴重な映像を探し出す発掘プロジェクトは、放送資産を補い、アーカイブスコンテンツの充実につながっている」と意義を強調する。

 プロジェクトで見つかったのは、今年6月までにビデオテープ約4500本とラジオが約2700本、台本約8100冊。NHKアーカイブスはこれらを含め、これまで放送されたドラマやドキュメンタリーなど約94万本以上を保存している。このうち公開のための権利処理が済んだ約1万本がNHKアーカイブスや番組公開ライブラリーのある全国の放送局など58施設で視聴できる。

◆人形劇「夢中になる。それが魅力」 声優の神谷明さん

 ボンボンやルチ将軍など複数のキャラクターの声を担当した神谷明さんは、未発見の録画テープを提供し発掘プロジェクトに一役買った。当時の思い出や番組の魅力について聞いた。

 −再放送の感想は?

 (放送開始から)三十八年ぶりと聞いて「もうそんなにたったのか」と思ったのが最初でした。その後、じんわりと喜びが込み上げてきましたね。

 −再放送には、番組関係者や視聴者の協力があった。神谷さんはなぜテープを保存していた?

 番組を録画していたのは、小さかった娘に見せたい気持ちが一番でした。自分が声を担当した番組の録画テープをデジタル化する中で、その文化的価値に気づき、提供しようと考えました。

 −当時の思い出は?

 レギュラーの皆さんが刺激的でスタジオに行くことが楽しみでした。あと、劇中歌の譜面が当日渡しで、歌の収録をクリアしていたことが思い出ですね。

 −神谷さんは一人で多くの役を担当していたが?

 難しさもありましたが、挑戦させてくれたことに感謝しました。特にルチ将軍が愛されたことは、本当にうれしかったです。

 −人形劇が放送される機会が減っている。人形劇の魅力は?

 「チロリン村とくるみの木」(一九五六〜六四年)や「ひょっこりひょうたん島」(六四〜六九年)は毎日見ていました。理由もなく夢中にさせる。それが人形劇の魅力です。

 

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