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【放送芸能】

浅野、待望 不器用な父親になる 映画「幼な子われらに生まれ」

 犯罪や暴力を伴う役柄で強烈な個性を発揮してきた俳優浅野忠信(43)が、映画「幼な子われらに生まれ」で新たな一面を見せている。演じるのは「普通」であろうと努力する不器用な父親。家族や親子のありようを問い続ける重松清の同名小説を原作に、浅野は40代を迎えてから熱望していた役だったと明かす。「過激なことは何も起きないけど、つらくても家族の前では笑顔でいる。そんなリアルな日常を演じたかった」 (浜口武司)

 「寄生獣 完結編」や「新宿スワンII」で激しいアクションやバイオレンスシーンをこなし、海外も注目した「私の男」「岸辺の旅」「淵に立つ」では陰のある男を演じてきた。

 「ぼくはエッジの効いた(個性の際立つ、とがった)役を任されることが多かったので、こういう役は新鮮でした」。浅野が演じる信(まこと)は4年前に、娘2人を抱えるシングルマザーの奈苗(田中麗奈)と再婚し、郊外のニュータウンに暮らす。元妻(寺島しのぶ)との間にも娘がいて、定期的に面会しているが、奈苗が新たに妊娠したことは言えずにいた。

 「出演が決まって、台本を本当に死ぬほど読んで。面白いんですよ、台本が。信は『家族のため』って頑張って、振り回されるんだけど、実は彼自身は何も変わらないでいる。その意味では彼は神経がずぶとくて『俺、大変だよ』ってのを楽しんでいるんです」

 奈苗の長女の薫は母親の妊娠を知ってから、信に嫌悪感を示すようになり、実の父親(宮藤官九郎)に会いたいと言うようになる。

 「ぼくも実生活で離婚しているけど、子どもたちにはいつでも会えるし、再婚はしてないので状況は全然違う。想像したり、知り合いから話を聞いたりして、たくさん(プランを)用意して現場に行きました。だけど子役の子どもたちがとてもリアルでピュアで、ぼくも思った以上のリアクションを求められました」と手応えを明かす。

 三島有紀子監督は最後に家族が一つになるようなハッピーエンドは用意していない。それでも浅野は、もっと見せない終わり方でも良かったと話す。「ハッピーエンドって、みんなが納得できる一つの形かもしれないけど、想像によって各自が明確な終わり方を思い浮かべることもあると思う。こうなるかもしれないという終わり方を描く方が映画的だと思うんですよ」

 映画ばかりに出演してきた浅野だが、今年はTBSドラマ「A LIFE〜愛しき人〜」で木村拓哉と共演し、10月からはフジ「刑事ゆがみ」に主演するなど活躍の場を広げている。「映画もどんどん姿を変えていて、今ではインターネットの動画配信もある。アウトプットの問題じゃないと思うようになった」

 2008年公開の映画「モンゴル」で訪れた砂漠の街で、子どもたちはネットカフェで映画を楽しんでいた。「もちろん作り手からすると映画は盗まないでほしいだろうが、目をキラキラさせて、これが映画の力だと思った。あのときから感じていた違和感に、ようやく自分でけりをつけられたんです」と笑った。

 

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