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【放送芸能】

テケテケテケ列島縦断「ベンチャーズ」 ニッポン大好き ツアー71回目

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 米国の伝説的ロックバンド「ベンチャーズ」が今年も日本にやって来た。一九六二(昭和三十七)年以来、ほぼ毎年のように来日し、なんと今回で七十一回目の日本ツアー。七月から九月まで各地で「テケテケテケ」とギターを響かせ、三日には東京・中野サンプラザに凱旋(がいせん)する。ただし半世紀余の歴史を誇るベンチャーズが大規模ツアーを続けるのは世界でも日本だけ。今なお支持されている理由とは−。 (池田知之)

 今夏の「来日五十五周年ツアー」は七月二十二日に始まり、九月六日まで全国計三十カ所で演奏する。

 結成は五九年。六〇年にシングル「ウオーク・ドント・ラン」を発表すると全米二位、全英八位のヒットとなり、六四年の「10番街の殺人」「ウオーク・ドント・ラン’64」も人気を集めた。ところが、ビートルズなど英国勢が台頭し、ハードロックなど新しい音楽が注目されると、ベンチャーズ人気も次第に下火になった。

 一方、日本では六五年にシングル「ダイアモンド・ヘッド」が大ヒット。この年の東京での演奏を収録したライブ盤「ベンチャーズ・イン・ジャパン」が五十万枚以上売れ、エレキブームも起きた。

 こうしたことを背景に、ベンチャーズは同年ごろから活動の軸足を日本に移す。七〇年代以降、一時の熱狂は薄れたものの、毎年のツアーには熱心なファンが足を運んでいる。

 来日中のボブ・スポルディングさん(70)は「日本には六〇年代からの義理堅いファンが大勢いる。その子供や孫もファンになりコンサートに来てくれる」と感謝する。

 音楽評論家の萩原健太さん(61)は日本独特のベンチャーズ人気について「ボーカルのないバンドなので、英語の壁がない。演奏にも歌心があり、どこか日本らしい哀愁や情緒をたたえている。それに、聴いた人が『自分にも弾けるのでは』と楽器を手にしたくなる」と指摘。実際、六五年からの二年間で計五十万本のエレキギターが売れたという。

 ベンチャーズはメンバー交代を重ねてきた。昨年のノーキー・エドワーズさん(82)を最後に「オリジナル4」と呼ばれる初期メンバーの日本ツアー参加はなくなったが、ベンチャーズはどこまで続くのか。

 ドラムスのリオン・テイラーさん(61)は「解散はないよ。とにかくツアーを続けて仕事をするのが大好きなんだ。ファンがいる限り続けるよ」と笑顔で語る。萩原さんは「彼らは実力派で、ロックの神髄を感じさせてくれる。本物を間近に見せてくれるありがたい存在です」とその意義を強調する。

★ジェリー・マギーさん入院 

 ギタリストのジェリー・マギーさん(79)が先月二十六日、佐賀県武雄市であったコンサート終了後に体調不良を訴え、福岡市の病院に入院した。招聘(しょうへい)元によると、マギーさんは回復したが、大事を取って、残るコンサートには出演しない。翌二十七日の鹿児島市のコンサートはマギーさんを除く三人で実施。その後はサポートメンバーを加えて演奏している。

◆8歳の僕に 響いたエレキ Charさん

 四十年以上、ロックの第一線で活躍するギタリストChar(チャー)さん(62)は八歳の時、ベンチャーズに影響されてエレキギターを始めた。日本を代表するギタリストは「ベンチャーズは自分のルーツ」と言い切る。

 −ベンチャーズとの出会いは。

 僕が小学生で、猫もしゃくしもテケテケの時代、五歳違いの兄貴がベンチャーズのレコードを買ってきたんです。エレキを持ったメンバーのジャケット写真がとても格好良くてね。(買い物に応じてポイントがたまる)ブルーチップの景品カタログにエレキがあったので、兄貴は「チャー坊と一緒に使うから」とか言って。そしてエレキが家にやって来たんです。

 今と違って映像も情報もない時代。(レコードから音を拾っていく)耳コピーで初心者向けの「パイプライン」(六三年)などを練習しました。二十代前半の時、テレビの仕事でベンチャーズと一度共演したことがあります。

 当時のギタリストはノーキー・エドワーズ。「キャラバン」(同)を必死に弾きましたよ。

 −自身にとってベンチャーズとは。

 ルーツです。ベンチャーズなくして今の自分はない。(他の奏者と競演する)セッションでは、これ見よがしなテクニック合戦になりがちだけど、そんなときシンプルに弾くことにも強さがあるということをベンチャーズから学んだ。

 一方でベンチャーズには超絶テクニックが必要な「キャラバン」などの曲もある。すべてのギターテクニックは「ベンチャーズで始まり、ベンチャーズで終わる」といっても過言ではないぐらいです。

 −ベンチャーズは大事な存在なのですね。

 日本中にテケテケが広がり、その後には日本独特のグループサウンズが出た。ベンチャーズが布教したものを日本のアーティストがいろんな形で演奏し、津々浦々でヒットさせた。ベンチャーズがいなかったら、ビートルズのヒットもなかったのではないかな。「ベンチャーズがあったからこそ、日本のロックやポピュラーが発展した」と言いたい!

<チャー> 1955年、東京都出身。本名・竹中尚人(ひさと)。中学生でスタジオミュージシャンとしての活動を開始。76年にメジャーデビューし「気絶するほど悩ましい」などがヒット。11月から「チャー・アコースティック・ツアー」を開始。関東地方では同27日に群馬・高崎シティギャラリーコアホール、同30日に東京・銀座ヤマハホールで。

 

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