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【放送芸能】

ご当地パーソナリティー ラジオを救う!?

 テレビにお茶の間の主役の座を奪われたラジオが、インターネットの台頭でますます窮地に追い込まれている。ところが、地方に行くと状況はやや違ってくるらしい。ローカル色あふれる番組で、地元愛あふれるパーソナリティーが輝きを放っている。ラジオ受難の時代にあって、リスナーに支持される語り手たち。そこにラジオ復権のヒントが隠れている!? (藤浪繁雄、池田知之)

◆FM福岡・BUTCH(ブッチ)さん(61) 巧みな話術、陽気に5時間半

 「イッツ、ショータイム! たまたま聴いちゃったあなた、お気を確かに〜」。金曜午後1時半、高らかに「BUTCH COUNTDOWN RADIO(ブッチ・カウントダウン・レディオ)」が始まる。チャート番組なのに、王貞治さんやルパン三世のものまねで読み上げる天気予報、「自腹で取材してきた」というお薦めの飲食店の紹介など、人気コーナーがめじろ押し。5時間半、陽気にしゃべり続ける。

 福岡で舞台俳優などとして活躍していた1996年、番組はスタート。見た目はちょい悪オヤジだが、トーク番組全盛のAM放送のくだけたしゃべり、FMの音質など「持ち味を徹底的に研究した」。7色の声、10以上のキャラクターを生みだし、笑いを絶やさない。経験から得た法則は「人の集中力は15分が限度」。「どこから聴いても楽しめること」にこだわり、ヤマ場を細かく設けて飽きさせない。

 マイナーチェンジを欠かさない。微修正を少しずつ重ねることで「リスナーに『変わっていないのに新しい』と感じてもらえる」という。ラジオの強みは「寄り添えること」。熊本地震や九州北部豪雨の時も悩み抜いた末に「非日常」を提供しようと笑わせた。「リスナーの力になれるなら、バカ話も精いっぱいやります」

◆ラジオ沖縄・真栄平(まえひら)仁さん(48) 「隣の兄ちゃん」リスナー支持

 しゃべるときは「隣の兄ちゃん」。飾らぬ人柄とトークで、誰からも「ひーぷー」と呼ばれる。「ティーサージ・パラダイス」(月−金曜正午)がスタートして十二年。ほかの地方と違って、昼過ぎに最もラジオが聴かれている沖縄において、ひーぷーは有名人だ。

 一時間五十分の番組は、二者択一のコーナー「アンケー島(とー)」だけ。「ミネラルウオーターと甘くない炭酸水、飲むならどっち?」などのお題に、メールやツイッターでリスナーから届く回答を一日二十〜三十通ひたすら読む。「沖縄の人の日常が見えてくる」ようで支持が増えた。

 地元で劇団を主宰し、漫才師として活動。局の看板だった民謡番組の終了後、聴取率アップとリスナーの若返りを期待された。重圧の中、出身地の沖縄中部地方の方言交じりでしゃべってみたら「兄ちゃん」と慕われた。時にお題から脱線し「カー用品とかマニアック(専門的)な話をすると、男性からのメールが増える」と笑う。

 基地問題、慰霊の日のような沖縄固有の事案にも工夫を凝らし向き合う。ローカルに徹しているが、インターネットから番組をダウンロードして聴く県外リスナーも多い。「世界中で聴けても、沖縄の話題にこだわる」と話した。

◆北海道放送・山根あゆみさん(35) 明るく楽しく距離感近く

 しゃべりが達者でもないのに人気者になった。その秘密は天真爛漫(らんまん)な人柄と底抜けに明るい笑い。4時間の情報バラエティー番組「カーナビラジオ午後一番!」(月−金曜正午)のスタジオからは、いつも明るい笑い声があふれ、北海道中を陽気にしている。

 2004年に一般職で入社し、営業を担当。いつも前向きな性格はスポンサーからも愛され、09年の異動でパーソナリティーに抜擢(ばってき)された。「しゃべる訓練を受けたことはなかった。最初はフニャフニャな声でした」と言うが、裏表のない性格で現場に溶け込み、リスナーからも「明るい気持ちになる」と支持されるようになった。

 ラジオを身近に感じるようになった原点は中学時代。実家の倶知安(くっちゃん)町のジャガイモ農家で、ラジオを聴きながら畑仕事をしていた両親を手伝った。畑で「番組が楽しそうだと、つい釣られて笑ってしまった」。ラジオとリスナーの近さを意識するようになった。

 距離をもっと近づけようと、地域の祭りに飛び出したり、自身のブログに“変顔”を掲載したり。そうした活動もラジオのしゃべりに生かす。「自分自身、思い切り楽しんでいるので4時間はあっという間」と屈託なく笑う。

◆在京局「声優、芸人に頼りすぎ」

 ビデオリサーチが昨年十月、全国の十五〜六十九歳の男女二万八千八百五人を対象に、ラジオの聴取習慣を調査したところ、最も多くの人が聴いているのが沖縄県で、調査開始から四年連続で一位だった。二位は山形県、以下岩手、山梨、長野の各県が続いた。こうした地域の特徴を同社の広報担当者は「車社会で、カーラジオから聴く人が多い上、地元密着の番組やパーソナリティーがいて、リスナーが身近に感じている」と分析する。

 全国のラジオ事情に詳しい放送作家の石井彰さんは「地方で人気のしゃべり手はみんな明るく、話芸が巧み。会話から土地の魅力もにじみ出て、リスナーをくすぐる」と言う。一方、東京の局では「声優やお笑い芸人に頼りすぎる」傾向が目立つとして「彼らは笑わせるのではなく笑われているだけで話術がない」と指摘する。

 石井さんは地方では魅力あるしゃべり手を見つける努力をしているとして、交流の深かった故永六輔さんの言葉を引用する。「『日本は(離島など)端っこから(いいところが)見えてくる』と話していた。魅力あるしゃべり手も遠いところにいるということでしょう」と話した。

◆関東でもローカル視聴OK

 パソコンやスマートフォンでラジオ番組を聴取できる「ラジコ」の無料サービスでは放送エリア内の番組しか聴けないが、月額378円(税込み)で「プレミアム」に登録すれば、関東地方でも北海道放送とFM福岡は聴ける。ラジオ沖縄はラジコに参加しておらず、スマートフォンやタブレットにアプリ「ラジオクラウド」をダウンロードすれば真栄平さんの番組を無料聴取できる。

 

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