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【放送芸能】

「ロボコン」闘魂30回 発想力×もの作り力=感動

 「ロボコン」の名前で親しまれるNHKの番組企画「アイデア対決・全国高等専門学校(高専)ロボットコンテスト」が来月三日、三十回の節目を迎える。地味な存在だった高専に光を当て、その後は大学生大会や世界大会も開催され、人気は拡大。知識とアイデア、情熱を注ぎ込むロボットの戦いは見る者に感動を与えてきた。今や「理系の甲子園」ともいわれるロボコンの魅力を探った。 (池田知之)

 長野市で十月末に開かれた関東甲信越大会。九校二十チームが参加したトーナメントの決勝で、長岡A(新潟県)が茨城Aを破ると会場は大きな歓声と拍手に包まれた。

 今年の大会タイトルは「大江戸ロボット忍法帳」。各チーム二台のロボットがスポンジ製の刀や秘密道具を使って、相手チームの本陣やロボットに付けられた風船を割る。より多く割った方が勝ちだ。

 全国大会への切符をつかんだ長岡Aのリーダー小林甲児さん(17)は「二台のロボットの連携がうまくいった」と喜ぶ。八本の長い腕を持つタコ型ロボットと両腕のはさみを武器にするカニ型ロボットの機動力で他チームを圧倒した。

 「ロボットを作るには集中力や体力が必要」と小林さん。プログラムを組み、工作機械で微小な部品を切り出し、時間を惜しんで組み立てる。リーダーにはチームをまとめる管理能力も必要で、卒業後の「もの作り現場」の縮図ともいえる。

 高専ロボコン競技専門委員で、東京都立産業技術高専の深谷直樹准教授(45)は「ロボコンは目的意識のある優秀な学生を高専に集める一助になっている」と指摘する。ロボコン人気の高まりを受け、中学生向けの学校見学会ではロボコンに関する質問が多く寄せられるという。

 高専は高度経済成長期の一九六二(昭和三十七)年、エンジニアの養成を目的に設置。五年制の高等教育機関で、現在は国公私立で五十七校ある。卒業後の就職率は極めて高く、大学への編入も可能だが、進学するのは全国の中学卒業生のわずか1・65%。八八年に始まったロボコンは知名度の低い高専に光を当てた形だ。

 ロボコンからは優秀なエンジニアや研究者も誕生している。二〇〇八年の第二十一回大会で優勝した国立沖縄高専卒業の阿嘉倫大(あかともひろ)さん(28)は東京都八王子市にベンチャー企業を創業。人が乗り込んで操縦するアルミ合金製の動作拡大型スーツ「スケルトニクス」を開発した。

 「ロボコンで活用した二足歩行ロボットの仕組みを応用しました。高専は私の青春そのものです」と胸を張る。人力で動くスケルトニクスはテーマパークのパレードなどで活用されている。阿嘉さんの夢は人間が乗って飛んだり走ったりできるロボットの開発。「出力の高いモーターを積み、骨格の強度も必要。制約は多いが、完成させたい」と意気込む。

 毎年変わる競技内容はゴールデンウイークのころにテーマやルールが発表され、全国八ブロックで行われる十月の予選に向け、各校が動きだす。高専ロボコン競技専門委員で、東京工業大名誉教授の清水優史(まさし)さん(73)は「テーマを毎年変えて『正解』が見えないようにするのが大切。技術力向上にはいろいろ工夫することが基本だ」と指摘する。

◆努力、見届けるぜ 応援団長・哀川翔がエール

 30年記念で結成された「ロボコン応援団」の団長を務める哀川翔さん(56)は「自分たちの力を出し切って」とエールを送る。

−8月に都内で開かれた世界大会でも大会進行を務めた。どうだった?

 フライングディスクを飛ばす競技だったけど、みんな死に物狂いだった。飛ばすだけでも高度な技術が盛り込まれ、いい意味でどうでもいいことを必死にやっていて素晴らしい。高専ロボコンでもどんな活躍を見せてくれるのか楽しみですよ。

−機械いじりの思い出はありますか。

 小学生の頃、家のラジオを分解して「部品が少ない」とか「これなら作れるじゃん」とか感じたな。学研の学習雑誌「科学」も好きで、付録の鉱石ラジオも作った。高校に入ってからはバイクもいじっていたよ。でも最近の家電や車はコンピューターが入っているから、もう触れないなあ。

−高専ロボコンに出場する学生のイメージは。

 取り組んでいることが異次元でマニアック。俺(カブトムシをたくさん飼育していて)虫部屋に1人で何時間もいることがあるんだけど、凝るところは通じる。分野は違うけど、きっと話も合うよ。

−全国大会にひと言。

 今まで続けてきたことを出し切れば、一番いい結果につながるはず。積み重ねてきた努力を見届けてあげたいね。

<ロボコン> 1988年8月11日に第1回大会を開催。NHKプロデューサーが米国で開かれていた大学生のロボット競技大会を知り、全国の高専に参加を呼び掛けた。91年には公募形式の「大学ロボコン」がスタート。2015年に名称を「学生ロボコン」に改め、高専なども参加できる形で6月ごろ開催。02年には約20カ国・地域が参加する世界大会「アジア太平洋放送連合(ABU)ロボコン」が始まり、日本からは学生ロボコンの優勝者が出場している。

 今年の高専大会には、全57校から124チームが参加。全国大会は来月3日に東京・有明コロシアムで行われ、長岡Aなど関東甲信越5チームを含む26チームが出場する。午後3時5分からNHK総合で生中継。

 

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