東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 放送芸能 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【放送芸能】

時代に「喝」30年 TBS「サンデーモーニング」

 日曜朝の情報番組「サンデーモーニング」(TBS、日曜午前八時)がこの秋、放送三十周年を迎えた。一週間の出来事を振り返る情報番組は当時まだ珍しく、その後に続く番組のモデルとなった。第一回から司会を務めるのは関口宏さん(74)。手作りフリップを使った分かりやすい解説や、ニュースの背景を考察する「風をよむ」なども高く評価される。「今」にこだわる“関口組”の魅力とは? (砂上麻子)

 番組は一九八七年十月四日に始まった。当時の名前は「関口宏のサンデーモーニング」。十二月三日で放送回数は千五百六十回を迎え、関口さんが休んだのは留学する子どものホストファミリーにあいさつするための一回だけだ。

 アニメや子ども向け番組の多い日曜日の午前帯に、情報番組が始まったのは、超売れっ子司会者だった関口さんに同局がかけたひと言。「番組の枠が空くので何かやりませんか?」

 当時、仕事で世界中を飛び回っていた関口さんは、帰りの機内で日本の新聞と週刊誌を読むことが楽しみだったという。その経験から関口さんが「普段、テレビを見られない人も多いだろうから、一週間の出来事をまとめて伝える番組はどうか」と提案し、採用された。

 西野哲史(てつじ)プロデューサー(59)は「関口さんがよく言うのは『どの時代でも真ん中にいよう』。関口さんはニュースやスポーツをよく見ているし、今の世の中がどこに向かっているのか常に考えている」と語る。

 番組の構成はほとんど変わらない。最初は一週間に起きた出来事のうち三つほどのニュースを取り上げ、ゲストコメンテーターが持論を交えて解説する。続いて、元プロ野球監督の「親分」こと故大沢啓二さんと野球解説者の張本勲さん(77)の鋭いコメントが売りだったスポーツニュースの「週刊御意見番」。選手を激励する「あっぱれ!」や叱咤(しった)する「喝」のフレーズが有名だ。その後、一週間のニュース振り返りと天気予報を経て、現代の世相を読み解く「風をよむ」へと続く。

 立教大の砂川浩慶教授(メディア論)は「中立的なニュース番組が多い中、一定の方向性を示して論じようという姿勢が視聴者に受け入れられている」と指摘する。

 二〇一五年に第五十二回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞と放送人グランプリ、JCJ賞を受賞。今年一〜十一月の視聴率も平均15・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と高い数字をマークしている。

 西野プロデューサーは語る。「視聴者が知りたいことは何なのか。信頼を裏切ることなく、世の中にとって大事なことを愚直に伝えていきたい」

◆関口 淡々と「今」を分かりやすく

 とにかく真面目で、番組に遅刻したり、休んだりすることはない。自ら「テレビ屋」と称する関口さんに聞いた。

 −放送開始から三十周年を迎えた。

 実感がないんですよ、淡々と「今」を伝えようと続けてきました。言われてみてはじめて三十年たったと気づく感じです。

 −これだけ長く番組が愛された理由とは?

 番組開始当時は一週間の出来事をまとめて伝える番組もなく、硬いニュース番組が多かったので、ニュースを分かりやすく伝えた。放送も日曜日の朝。のんびりとくつろぎながら見たいという視聴者に受け入れられたのでしょう。

 −三十年間で記憶に残るニュースは?

 たくさんありますね。時代が昭和から平成に変わった。ベルリンの壁の崩壊、東日本大震災などいろんなことがありました。

 −俳優としてデビューして半世紀以上をテレビ業界で過ごしてきた。テレビの魅力とは?

 テレビの本質は「生」であり「今」であると思っています。絵(映像)をつくる上ではまだテレビは頑張っている。今を視聴者に伝えるメディアとしてはまだまだ力がある。東日本大震災ではテレビの役目は大きかった。そのうちネットの時代になるかもしれないけど、ネットは良い面、悪い面がまだ出尽くしていないし、発展途上。その中でテレビがどうなるか、後の世代が頑張ってほしい。

<せきぐち・ひろし> 1943年、東京都生まれ。俳優でデビュー後、司会者として「クイズ100人に聞きました」「知ってるつもり?!」など多数の番組に出演。父は映画俳優の佐野周二氏で、上原謙、佐分利信(さぶりしん)両氏と「松竹三羽がらす」と呼ばれた。

◆フリップ スタッフ自作 親しみやすく

 番組のこだわりは、ニュース解説で使う「手作りフリップ」だ。デザインの専門部署に発注することなく、番組スタッフが毎回カッターナイフやテープを使って手作りする。工藤和靖ディレクター(39)は「素人っぽさで親しみを持ってもらいたい」と狙いを明かす。

 初登場は2006年8月。「サブキャスターが原稿を読むだけでなく、自分の言葉で話すコーナーを」。関口さんの提案がきっかけで、一週間のニュースの中から一つを取り上げ、4人の女性サブキャスターが持ち回りで担当している。

 水曜日にテーマを決め、金曜日から作業を始め、土曜日夜に完成させる。試作の段階で関口さんから「分かりにくい」とダメ出しされ、作り直すこともある。

 単純に平板なパネルではなく、立体が変形したり、絵や写真が動いたりする仕掛けがある。放送前夜までフリップ作りに取り組んでいたサブキャスターの伊藤友里さん(30)は「簡単ではつまらないし、複雑すぎると内容が伝わらない。バランスが難しい」と笑う。

※「新春スペシャル」来年1月7日午前7時放送

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報