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【放送芸能】

役者の心情を見逃さない 斎藤工 長編初監督「blank13」

 無類の映画好きで知られる俳優斎藤工(たくみ)(36)の長編監督デビューとなる映画「blank13」が2月3日、東京・シネマート新宿で先行公開される。これまでにない映画を作ろうと、役者にあえてせりふを覚えないよう指示して撮影。上海国際映画祭で最優秀監督賞を受賞するなど多くの映画祭で評価された。「彼ら(役者)がその場でどう受け止めていくのか、その表情や心情を撮りたかった」とその狙いを明かす。 (猪飼なつみ)

 放送作家はしもとこうじの実体験を基に映画化。ギャンブルに溺れ、十三年前に借金を残して蒸発し、音信不通だった父雅人(リリー・フランキー)が亡くなる。最期まで心の溝が埋まることはなかったが、コウジ(高橋一生)や兄のヨシユキ(斎藤工)は、葬儀の参列者によって父の真実を知っていく。

 「僕の父親は健在ですし、状況も違うんですけれど、はしもとさんに話を聞いて不思議と自分のことのように思った」と振り返る。「家族ですら知らない側面って、誰しも持っていると思うんですよね」

 父親の新たな側面を知ったときに、どう反応するのか。物語後半の葬儀のシーンは長回し(の撮影)を多用し、まるでドキュメンタリーのように撮った。「人の喜怒哀楽って逆説的なときもあると思うんですよね。悲しいけど笑っているとか、対極の感情が同居したり。そういう人間らしいものを撮りたかった」

 急遽(きゅうきょ)、自身も出演することになったため、葬儀の最後にコウジが語る場面は監督として出来を確認できなかった。作品のすべてとも言える大切なシーンだが、「カットの後、はしもとさんが泣いていたんです。僕はまだ見ていなかったけれど、本人がこの表情をしているなら大丈夫だと思った」と確信した。

 今後については「役者と監督、どちらかに決めずにやっていきたい」という。「それに、僕らの仕事は悪いパフォーマンスをしたら途切れる。監督は言い訳ができないから役者よりもシビア。それで次の扉が開いたら、また力を注ぎたい」と意欲を見せる。

 そして映画ファンとしてのこだわりも見せる。本作をDVDにする予定はないという。「劇場空間に向けて作ったので劇場で受け取ってほしい。最近はDVD化するのが早すぎる気がして、まるで封切りが賞味期限の始まりのよう。その流れに乗りたくないんです。映画は無限の鮮度を持っているものだと思うから」。 二月二十四日から全国で順次公開される予定。

 

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