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【放送芸能】

ゲーオタと言わせない 電脳の格闘技「eスポーツ」

トッププレーヤー同士による「ストリートファイターV」の対戦=千葉市で

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 対戦型のコンピューターゲームで競う「e(エレクトロニック)スポーツ」の普及を目指す動きが本格化している。日本では子どもやオタクの「遊び」と見られがちなコンピューターゲームだが、世界的には「競技」として注目され、国際オリンピック委員会(IOC)もスポーツの一つとの認識を示している。日本でも今月1日、プロライセンスを発行する団体「日本eスポーツ連合(JeSU)」が発足。世界を追撃する態勢が整いつつある。 (池田知之)

 巨大なモニターに映し出された筋骨隆々のキャラクターを、500人を超える観客が固唾(かたず)をのんで見守る。派手なキックやパンチの応酬に大きな歓声が上がる。まるでリアルな格闘技やプロレス会場にいるような興奮が包む。

 千葉・幕張メッセで10、11日に開かれたゲームの祭典「闘会議2018」。JeSUなどが主催し、2日間で7万2000人が来場した。冒頭の格闘ゲーム「ストリートファイターV(ファイブ)」の優勝者には200万円の賞金が贈られた。

 JeSUは、既存の3団体が統合され設立。「ストV」や「鉄拳7」など6種類のゲームを公認し、ゲームごとにプロライセンスを発行する。2日間の祭典では計15人をプロとして認定。これまで14〜38歳の計53人、6チームがライセンスを受けている。

 ライセンス発行の目的は高額賞金の大会を開きやすくするためだ。米国シアトルで昨年夏に開かれたオンラインゲームの世界大会の優勝賞金は約1000万ドル(約10億7000万円)。海外では賞金が数百万円の大会は珍しくないが、日本では景品表示法の規定で10万円以下に制限されてきた。ゲームメーカーが関わる大会では賞金が顧客にゲームソフトを購入させるための「景品類」とみなされる恐れがあるためだが、プロ選手の大会となれば「仕事の報酬で、景品類には当たらない」(消費者庁)。

 日本ではライセンス発行前からプロとして活動するプレーヤーが100人ほどいるとみられているが、実際にゲームで生計を立てている人はほんの一握り。JeSUは高額賞金の大会を開くことで、プレーヤーの生活を支え、ファンのすそ野とビジネスチャンスを広げようとしている。

 また、JeSUを統一団体として設立したことで、将来の日本オリンピック委員会(JOC)加盟も視野に入れる。アジア・オリンピック評議会(OCA)はジャカルタで今年開催するアジア大会でeスポーツを公開競技として採用、2022年大会(中国・杭州)では正式種目とすることを決めている。

 JeSUの平方彰専務理事は学校での「eスポーツ部」の誕生も期待する。「かつてはヒップホップダンスも不良と言われたが、今では中学校の授業にも取り入れられている。将来、eスポーツの選手があこがれの職業になれば」

 課題もある。現在のJeSU役員7人はゲームメーカーや広告代理店の幹部らで構成されており、プレーヤーは不在。世界的にライセンスを発行しているのは日本だけで、既に海外などで活躍するプレーヤーからは反発も寄せられている。さらにゲームソフトが「公認タイトル」に採用されると、ゲームメーカーに大きな収益を生み出すため、選考過程の透明化も求められる。

 慶応大大学院の中村伊知哉教授(メディア政策)は今回のライセンス化により産業や文化としての基盤が整うと歓迎しつつも「eスポーツが社会的に認知されると、公共性や社会的責任も帯びる。選手たちとの対話もより重要になる」と指摘する。

◆ドキュメント映画に

 プロ選手の実像に迫ったドキュメンタリー映画「リビング ザ ゲーム」が3月3日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開される。世界的に人気の梅原大吾さんや米国、フランス、台湾のプロ選手も出演。高度な技の攻防で観客を熱狂させる大会の様子や、周囲から理解されにくい「ゲーマー」という職業に葛藤する若者たちの姿を描いた。合津(ごうつ)貴雄監督。1時間28分。

◆プロ・立川さん 尊敬されるプレーヤーに

 プロチーム「デトネーションゲーミング」(東京)に所属する立川(たちかわ)さん(20)に話を聞いた。

 −プロを志したのは?

 プレイステーション3の「ストリートファイターIV(フォー)」を始めた中学生の頃、有名プロ選手の梅原大吾さんに憧れたんです。「この道で生きていけるならプロとして生きたい」と決心しました。台湾で昨年十二月にあった国際大会で優勝し、賞金一万五千ドル(約百六十万円)を獲得しました。

 −格闘ゲームの難しさは?

 短時間で終わるので、集中力がとても大切です。ボタンを押すタイミングが六十分の一秒違うだけで勝負が変わってくる。満腹だと集中できないので、試合前はブドウ糖だけを取るなど工夫しています。大会が近くなれば一日十時間ほど練習します。でも楽しいので疲れませんよ。

 −日本で高額賞金の大会が可能になることは。

 もちろんうれしい。プロが世間的に認められることにもつながる。ゲーム人口の増加も期待でき、eスポーツが盛んになりますよね。

 −どんなプレーヤーになりたい?

 プレーヤーとして、尊敬してもらえるようになりたい。プロの中でどう目立って、人のできないプレーをして、どれだけ結果を残し、ファンを引きつけられるか。(一般的な)スポーツと同じですよね。ラスベガスなどで開催される大きな舞台でも活躍し、大勢の人に見てもらえれば。

 

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