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【放送芸能】

石巻の思いともに 「生きる街」主演・夏木マリ

石巻について「浜側と高台の街の風景が全然違い、大変なことが起こったんだと実感した」と振り返る夏木マリ=東京都港区で

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 東日本大震災から七年の節目を前に、宮城県石巻市を舞台にした映画「生きる街」(榊英雄監督)が公開されている。震災から時が過ぎ、被災地に残る人と離れる人、それぞれ悩みを抱え、それでも前を向いて生きる姿を描いた。主演の夏木マリ(65)は「被災地の方にはもちろん見てほしいし、多くの人に家族と故郷を思い出してもらえる映画」と話す。(猪飼なつみ)

 物語は震災五年後を描く。千恵子(夏木)たち家族の暮らしは震災で一変。津波に流された漁師の夫は行方不明になり、夫が戻ってくると信じる千恵子は地元に住み続ける。石巻を離れた娘の香苗(佐津川愛美)はトラウマ(心的外傷)から子どもを産むことを恐れ、息子の哲也(堀井新太)はすべてを震災のせいにしていた。

 千恵子はみんなの前では明るく、ムードメーカーのような存在。民宿を営みながら、次第に運命を受け入れていく。「そうせざるを得ないのだろうけれど、その前向きな生き方が好きでした。千恵子と私に唯一共通するのは元気なところ」。ただ、千恵子役のオファーがあったときは「実話のようにリアルな物語だし、震災を体験していないので最初は自信がなかった」と打ち明ける。

 撮影で石巻市に二週間滞在し、民宿に泊まって地元の人たちとも交流した。「世間話をしているときは、明るくてみんな強かった。でも、最近やっと当時のことを近所の人に話せるようになったという人や、支援の格差で仲が悪くなってしまったという人もいて、さまざまな葛藤を抱えているのだろうと思った」。千恵子のように夫が行方不明の人にも会い「やっぱり人に語れない思いがあると思った。震災の受け止め方や痛みの形は被災した人の数だけある」と実感した。

 俳優としての想像力で役作りしながら、石巻で出会った人たちの話も演じる上で参考になったという。初めての石巻弁は「音符のように覚えた」といい、撮影以外でも話すときは石巻弁を使った。

 物語の後半で、千恵子たち家族にかつて同じ街に住んでいた人から手紙が届き、止まっていた時間がゆっくり動き始める。

 「震災から時間がたって、どういう支援をしたらいいのかと自問自答するけれど、映画やライブに出演して震災を忘れないようにしてもらうことが私たちの支援の方法の一つなのかな。これからもチャンスや出会いがあれば、やらせていただきたい」と語った。

 

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