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【放送芸能】

映画「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」 ショーン・ベイカー監督

◆安モーテル暮らし 少女の視点で描く

 青空が広がる米フロリダのディズニーワールド近くで、その日暮らしをする親子を描いた映画「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」が十二日、公開される。六歳の少女ムーニーの視点で安モーテルでの暮らしがカラフルに描かれ、世界の映画祭で高く評価された。ショーン・ベイカー監督(47)は「ムーニーと一緒に、観客も冒険に旅立ってほしい」と語る。 (猪飼なつみ)

 米国では、家のない人がモーテルで暮らす「隠れホームレス」が社会問題になっている。「私自身がこの問題を知らなかった。フロリダを舞台にしたのは、ホームレスの家庭と、子どもにとって幸せな場所のはずのディズニーワールドが並んでいるのが衝撃的だったから」と明かす。

 ベイカー監督は、これまでも社会問題やマイノリティーの物語をテーマにしてきた。全編iPhone(アイフォーン)で撮影して話題になった前作「タンジェリン」(二〇一五年)はトランスジェンダーの日常を描いた。「スクリーンで代弁されていないグループがまだまだある。でも映画は娯楽。バランスを取りながら作りたい」

 フロリダのモーテルを三年間調査した。映画は冒頭からムーニー(ブルックリン・キンバリー・プリンス)たちの悪ふざけが笑いを誘い、モーテル中の電源を落とすいたずらは実際にあったことだという。

 モーテルの管理人はムーニーたちを叱りつつ、温かく見守る。「どこのモーテルの管理人にも共通することだが、子どもたちの保護者のような立場にならざるを得ないんです。一方で、お金を払えなければ退去してもらわなくてはならないから、ある程度、距離を保たないと管理人自身が傷ついてしまうジレンマもある」

 本作は全編35ミリフィルムで撮影。デジタルカメラと違い、カラフルなモーテルや青空の色に深みが出るといい「絵はがきのようなビジュアルにしたかった」とこだわった。

 ラストは切なさが漂う。「解釈は観客に任せたい。想像力豊かなムーニーのように、自分なりのエンディングを見つけてほしい」

 

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