東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 放送芸能 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【放送芸能】

監督、芝居にほれぼれ 「万引き家族」あす公開

帰国後、主演のリリー・フランキーと再会し「受賞を喜ぶというより、2人でしんみりしてしまった」と明かした

写真

 第七十一回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝いた「万引き家族」が八日、公開される。是枝裕和(これえだひろかず)監督(56)が「十〜十五年考えてきたことすべてを込めた」という渾身(こんしん)の一作。「撮影しながら特別な瞬間だと思うことが何度もあって(受賞前から)良い映画ができた実感があった。役者の皆さんの芝居にほれぼれしました」と語る。(猪飼なつみ)

 これまでもさまざまな家族の在り方を描いてきた是枝監督。家族の絆は血のつながりか一緒に過ごした時間かを問う「そして父になる」(二〇一三年)を製作してから、血縁以外に何が家族をつなぎとめるのかを考えていた。そのとき親の死亡後も年金を不正に受給していた事件の報道に接し「犯罪でしかつながれなかった」というキャッチコピーが浮かんだ。

 「もし今そういう家族がいたら、捕まって袋だたきにされて、断罪されますよね。世間の常識や正義、あるいは『優しさ』といわれるものをぶつけられて。でも、それだけでは片付けられない彼らの感情や暮らしぶりをつぶさに見ていきたかった」

 家族の内側というより、家族と社会との接点を意識した。かつてテレビのドキュメンタリーを撮っていたときの感覚に近く、監督として特別な節目になった「誰も知らない」(〇四年)のスタンスに似ていたという。

 この十年ほどで製作したさまざまなファミリードラマとは異なり「世界がどうなっているのか、考えて、自分の認識を更新していく感覚だった」。特に信代(安藤サクラ)のまなざしを通して社会への怒りをにじませた。

 注目は役者の芝居のアンサンブル。「単独で芝居をしている人は誰もいなくて、掛け合いの中でしか存在しない。一人が違う人だったらすべてが変わっていた」。中でも終盤で信代が泣く場面は「撮影しながら、とんでもないことが起きていると思った。でも、それもみんなで積み重ねた家族の時間が、サクラさんに表れたから」。そのシーンはカンヌの審査員長で女優のケイト・ブランシェットに「もしこれから映画の中であの泣き方を見たら、安藤サクラのまねをしたと思って」と絶賛された。

 是枝監督を世界の高みに引き上げた本作。「ずっと日本の家などをどう描くかを考えてきて、国内で撮る作品として一区切りを付ける気持ちがあった。(国内は)これで最後というわけではないけれど、今年、来年はフランスで撮ろうと思っています」と明かす。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報