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【放送芸能】

レッツ!!ラジオ体操 新しい朝 90年

約900人が参加した「夏季巡回ラジオ体操・みんなの体操会」=東京都大田区の平和の森公園で

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 ラジオ体操が誕生して90年となる。多くの人に愛されてきた“国民的体操”だが、近年は夏休みの朝に体操する子どもたちの姿を見ることもめっきり減り、愛好者の高齢化が進む。地域コミュニティーも変化し、ラジオ体操に逆風も吹くが、健康面での効果は実証済みだ。運動不足が気になるあなた、早起きしてラジオ体操を始めてみませんか? (池田知之)

 東京都大田区の「平和の森公園」。全国43会場を回る今年の「夏期巡回ラジオ体操・みんなの体操会」の初日に約900人が集まった。この日はまだ夏休み前とあって子どもの姿はまばらだが、それにしても高齢者が目立つ。都ラジオ体操連盟理事長の佐藤幸一さん(83)は「ラジオ体操は健康にいい。3日休むと体の調子が悪くなるよ。みんなでやるから楽しい。子どもがいると張り合いが出るんだけどね」と笑う。

 ラジオ体操の誕生は1928(昭和3)年11月。国民の健康増進のため、逓信省簡易保険局(現かんぽ生命保険)がNHKや文部省(現文部科学省)の協力を得て制定した。正式名は「国民保健体操」。当初は全国の郵便局員がまず動きを覚え、各地で指導に当たったという。

 30年7月には集団で行う「ラジオ体操の会」が、東京・神田の佐久間公園で初めて開催され、地元の警察署員を中心に約120人が参加したという。32年には全国1935会場で延べ2593万人が参加したとの記録が残っている。

 戦後は号令に合わせて体操するスタイルが「軍国主義的だ」と連合国軍総司令部(GHQ)に問題視されNHKは放送を自粛。51年に現在の体操に生まれ変わった。全国ラジオ体操連盟は朝の放送に合わせて体操をする人は現在、70〜80代を中心に2800万人と推計する。

 簡易保険加入者協会が2004年に全国の小学校を対象に行った実態調査では、76.4%の学校が何らかの形でラジオ体操を行っていたが、実施率は東京などの都市部で低い傾向が浮き彫りに。また大規模校ほど実施率が低く、児童数が800人を超えると44%に留(とど)まった。実施校の9割近くは運動会で行い、体育の授業での採用は51.4%にすぎなかった。

 夏休みに地域ごとに行われている朝のラジオ体操も様変わりしている。全国ラジオ体操連盟の担当者は「以前はほぼ毎日行われていたが、1980年代から実施日が減り始め、今では1週間ほどしかやらないところが多い」と明かす。協会の調査概要をまとめた立教大学の間々田孝夫名誉教授(66)は「東京では(騒音問題もあり)体操をする場所が少なくなっている。ラジオ体操は大都市の環境にそぐわなくなった」と指摘する。

 散々な状況ばかりが目につくが、健康への効果は特筆ものだ。体操指導者の多胡肇(たごはじめ)さん(51)は「全身運動として改良の余地がないほど完成されている。続ければ体調が良くなりますよ」と太鼓判を押す。

 協会は2013年、ラジオ体操を3年以上続けている55歳以上の500人を調査。基礎代謝量や筋肉量から求められる体内年齢は実年齢より10〜20歳若く、呼吸機能や骨密度も同世代の平均値より高かった。調査を委託された神奈川県立保健福祉大の渡部鐐二(わたなべりょうじ)元教授(71)=体力測定学=は「動きの一つ一つが理にかなっている」と評価する。その上で「地域のコミュニティーづくりや規則正しい生活習慣にもつながる。文化として残した方がいい」と声援を送る。

◆「体操しようよ」主演 草刈正雄が語る愛

 会社を定年退職した仕事人間の男性が、ラジオ体操を通じて地域社会に溶け込んでいく姿を描いた映画「体操しようよ」(菊地健雄監督)が十一月に公開される。人付き合いの苦手な主人公を演じる草刈正雄さん(65)に、ラジオ体操への思いを聞いた。

 −子どものころ、ラジオ体操はしましたか?

 小学生のとき福岡の小倉(現北九州市)に住んでいて、うちのすぐ前がラジオ体操会場の小学校だった。夏休みにはラジオ体操の出席カードにはんこを押してもらいに毎日行きましたよ。でも体操したことそのものはあまり覚えてない。ただ、はんこを押してもらうこと自体がうれしかったんでしょうね。

 −映画の中ではジャージー姿で体操を披露しています。

 体操を指導する先生から直接教えてもらいました。気持ちが落ち込んだときでも、朝、三分間のラジオ体操をするだけで、不思議と「今日はいい日になるぞ」と前向きになれるんですね。きつい運動ではないけれど、健康になれそうです。基本的に僕は怠け者なんだけど、せっかく体操を覚えたので続けますよ。ラジオ体操は絶対お勧めです。

 時々、朝方に近所を走っていますが、先日、ラジオ体操の放送が聞こえてきました。ちっちゃなお庭で、年配のご夫婦が一緒に体操をやっていました。お二人の姿につい、にんまりしてしまいました。

 −ラジオ体操は、なぜ多くの人に親しまれるのでしょうか?

 一つのことを大勢ですることに本質的な喜びがあるのではないかな。今回の製作現場でも体操を中心に、チームワークも良く撮影ができました。ラジオ体操人口が増える映画が完成したと思います。

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