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【放送芸能】

アニソン、画面飛びだす

アニメ作品の役のまま歌う女性声優グループ「Aqours(アクア)」=提供写真

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 日本の音楽界で、アニメ関連の楽曲「アニソン」の勢いが止まらない。かつては“専門歌手”がテレビアニメの作品名を連呼する曲が主流だったが、現在は曲も歌い手も多様化している。第一線で活躍する歌手が進出したり、声優たちが演じている役のまま歌い、アイドル化したりする時代となった。アニソンのライブ市場の成長は驚異的で、海外展開の動きもある。日本動画協会が定める十月二十二日の「アニメの日」を前に、アニソンの現在を探った。 (原田晋也)

 八月二十四〜二十六日、十四回目を数えた“世界最大”のアニソンの祭典「アニメロサマーライブ(アニサマ)」がさいたまスーパーアリーナで開かれた。今を時めくアニソン歌手ら五十九組百三十六人が競演、三日間合計約八万一千人のファンが熱狂した。

 ぴあ総研(東京)の統計によると、漫画やアニメ、ゲーム由来のライブは二〇一二年から五年間で市場規模、動員数ともに四倍以上に伸びている。ポピュラー音楽全体のライブ市場が拡大を続ける中でも成長率は著しい。同総研の笹井裕子所長は「大規模な“アニフェス”やイベントが定着していることに加え、新たな形態のライブやイベントも生まれている」と分析する。CD市場は厳しい状況が続くが、アニソンからは好セールスの曲がたびたび出現する。

 歌い手が多様化する中、アニメ作品中のキャラクターが歌う「劇中ユニット」が特に人気を集めている。一九八〇年代に「超時空要塞(ようさい)マクロス」の声優が歌い成功した例はあるが、現在はアイドルを主人公にしたアニメが多く登場。声優自ら演じているキャラクターと同じような衣装や髪形で歌って踊る。画面から現実の世界に飛び出してきたような劇中ユニットのライブも急増している。

 声優人気とライブ市場拡大の時流を読んで成功した劇中ユニットの象徴ともいえるのが、アニメ「ラブライブ!」の女性声優たちが作中のキャラクターのまま組むユニット「μ’s(ミューズ)」。二〇一五年のNHK紅白歌合戦にも出場、声優のアイドル化が進んでいることを世に知らしめた。現在は後継の劇中ユニット「Aqours(アクア)」が活躍している。

◆世界席巻の夢

 アニメ誌「アニメぴあShin−Q」の相羽康行編集長は「作品とキャラクターに興味を持ち、そのキャラの歌を好きになり声優のファンになるのが一般的。必ずしも声優の容姿からというわけではない」と話す。最近では女性ファンを意識し、男性声優のユニットも増加しているという。

 昨年三月には、海外展開も視野に入れたアニソン専門のサブスクリプション(定額聞き放題)サービスも誕生した。アニソン制作に携わる十社が共同参画して運営会社を立ち上げた「ANiUTa(アニュータ)」。多彩なジャンル、数千万単位の膨大な曲数を売りにする同種サービスの中では異例の存在。佐々木史朗社長は「アニソンは海外でも人気を集めていて、世界的に見れば会員数は増やせるのでは」と手応えをつかんでいる。

 月額六百円でアニソン約七万曲が聞き放題。今年は中国と米国でもサービスを始めた。海外でのライブでは全ての歌詞を日本語で歌う熱いファンも多く、米国では日本語をアルファベット表記した歌詞を表示するサービスも売りの一つにする。

 佐々木社長は「アニソンは日本で独特な進化を遂げたジャンル。世界中でアニソンを聴き、日本のようなアニソンを作る人も増えている。米国で生まれ世界中に波及したブルースのように、アニソンも広がっていってほしい」とアニソンで世界席巻という夢を語る。

◆森口さん「国境、世代超える」

 明るいキャラクターで親しまれている森口博子さん(50)は、一九八五年にアニメ「機動戦士Zガンダム」のオープニング曲「水の星へ愛をこめて」でデビュー以来、ファンから「ガンダムの女神」と呼ばれている。テレビやラジオのアニソン番組でも活躍する森口さんのアニソン愛とは。

−アニソンの思い出、関わりは。

 小学二年生のころ両親が離婚して、つらい時にテレビアニメ「キャンディ・キャンディ」の「あしたがすき」という曲が支えになった。十代のころには、歌手を目指しながらオーディションに落ち続けていた私の夢を、ガンダムがかなえてくれました。

−森口さんにとってアニソンとは。

 人格形成の時に聴いていたので、どんな時も裏切らない家族のような、生涯のパートナーのような存在です。

−先月、台湾でのアニソンライブで、初の海外公演を経験したとか。

 会場に一糸乱れぬ一体感があって、私の曲のイントロが流れただけで歓声が耳の奥まで響いてきました。アニソンは国境と世代を超えているんだってことを感じられた。あの瞬間は一生忘れないですね。アニソンは日本が誇る文化だと思います。

−アニソンが聴く人を引きつける魅力は。

 アニメ作品の感動がリンクすることが一番大きい。私のデビュー曲にはガンダムという言葉は一度も出てきませんが、監督とディレクターが米国に渡って、歌手で作曲家のニール・セダカさんに作品のコンセプトを話して書いてもらいました。作品とリンクしてこそのアニソンだと思います。

<もりぐち・ひろこ> 1968年、福岡県出身。85年「機動戦士Zガンダム」の主題歌「水の星へ愛をこめて」でデビュー。91年、映画「機動戦士ガンダムF91」の主題歌「ETERNAL WIND」がヒット、同年から6年連続で紅白歌合戦に出場。BS11のアニソン専門番組「アニソンデイズ」で司会進行、10月からは同局と連携した文化放送の番組「アニソンデイズ・プラス」でパーソナリティーを務めている。

 

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