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【放送芸能】

倉本聡、TV界に喝! 民放大会で講演 4Kより中身/人材育成に力を

民放関係者に奮起を促した倉本聡=東京都港区で

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 「北の国から」など数々の名作ドラマを手掛けた脚本家の倉本聡(83)が七日、東京都内で開かれた「第六十六回民間放送全国大会」で記念講演し「(局は)もうけた金がテレビのために還元されていない。(テレビ界は)役者や脚本家、演出家をどれほど育てたのか」などと現状や将来を憂いつつ、奮起を促した。 (竹島勇)

 「テレビはどこへ行くのですか?」と題した講演で、倉本は全国の民放関係者約千二百人を前に厳しい言葉を交えて思いを語った。テレビ草創期、手本がない中で番組づくりをしていたことを説明し「つくるという言葉には『作る』と『創る』がある。作るは知識とお金を使うこと、創るは金がなくても知恵を使って前例のないことをすることだと僕は定義している」とした上で、今の制作現場は「作る」に重きを置き「創る」ことへの意識が薄らいでいるため、挑戦する意欲を失わせているとした。

 キー局と地方局の関係性にも触れた。北海道に拠点を移して間もないころ、地元局で一年半かけて作ったドラマがキー局の判断で、あまり注目されない「土曜日午後三時」に放送されたことを振り返り「私のドラマは大体、(夜の)ゴールデン(タイム)に放送されていた。地方局ってのはこんなにされるのかって」と自身が受けた衝撃をキー局の「横暴」と表現すると、会場は静まりかえった。

 十二月からハイビジョンより画質が良い新4K8K衛星放送が始まるが、「4Kだと言いますが番組の中身が変わるんでしょうか。電器メーカーが稼ぐのではなく、質を高めてほしい」と強く要望した。

 人材発掘や育成の役目も局の大切な役目という。一部の局が実施しているシナリオコンテストを挙げ「あのやり方は間違っている」ときっぱり。「ドラマの筋と撮影台本からなるオリジナルシナリオをいきなり素人に書かせるのは無理。脚本家を育てたいなら、例えば藤沢周平の短編を指定して脚色させるのは意味がある」と持論を展開した。

 ドラマの演出面では、俳優を動かしてドラマを起こす「演技演出」ができる人材の育成に問題があると指摘。「昨日まで営業をしていた人が突然、現場に回されるのでは無理からぬことですが」と嘆いた。ドラマの出演者側の問題点も挙げ「歌手やスポーツ選手まで学芸会のように出てくる。これはトレーニングを積んだ役者にとって屈辱的なこと」と批判。欧米では名の通った俳優でさえ、訓練を欠かさないのに比べ、日本の俳優は人気を得ると努力を怠ってしまいやすい現状に不満を並べた。

 ニッポン放送の局員を経て、長年テレビで活躍してきた倉本は「ラジオが好きでテレビに恩義を感じている」と強調。「ドラマ、テレビは人を感動させるものだと思う。それが世の中をどれだけ明るくするのかを考えていただきたい」

 

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