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【放送芸能】

<平成エンタメ潮流 新時代へ> (上)女性アイドル集団化

昨年の「AKB総選挙」。1位になり喜ぶSKE48の松井珠理奈(中央)=名古屋市東区のナゴヤドームで

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 平成ラストイヤーが幕を開けた。この30年、エンターテインメントの世界でも劇的な変化や進歩があり、それは新たなカタチとして世の中に定着している。新時代が始まる2019年、平成生まれの革命的なエンタメの潮流に迫る。初回は「集団化した女性アイドル」−。

 昨年暮れ、平成の女性アイドルを象徴する場面があった。「平成のギリギリまで、一生懸命アイドルとして頑張りたい」。「AKB48」の姉妹グループ「HKT48」のライブで、指原莉乃(26)が今春のグループ卒業を発表した際、そう思いを語った。ファン投票による「総選挙」ではトップ争いの常連、バラエティー番組の顔でもある指原はグループでタレント性を磨き、スターになった。そんな人気者の卒業表明は、芸能のトップニュースとして報じられた。

 山口百恵、松田聖子、中森明菜…。昭和の女性アイドルはソロが主流だったが、平成に入ると「冬の時代」と呼ばれた。その後、一九九七年に結成の「モーニング娘。」がその殻を打ち破った。テレビのオーディション番組の最終選考で落ちた五人で結成。相次ぐメンバーの加入や卒業も話題となり、アイドル「集団化」の流れを築いた。

 平成後半の十数年は、社会現象化したAKBグループが女性アイドル界をリードした。なぜ、ここまで多くの人を引きつけるのか。「入ってびっくりしたんですけど、意外と泥くさいんですよ。ファンの前で泣いたり、感情をあらわにしたり。自分のありのままをさらけ出すんです」と話すのは元AKBメンバーの岩田華怜(かれん)(20)。「夢を与える」だけでなく、「会いに行ける」身近なアイドル。専用劇場を持ち、毎日のように公演を開き、頻繁に握手会などのイベントを開き、ファンを増やしていった。

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 アイドル研究家の北川昌弘さん(61)は「テレビでは大人数は不利だが、モー娘(むす)。が成功したことで、ライブやネットで直接発信していくアイドルの可能性が一気に膨らんだ」と話す。アイドルに詳しい社会学者の太田省一さん(58)は、グループ化の現象について「バブルが崩壊し、震災などもあって社会が不安になる中、ファンは前向きで希望を与えてくれるアイドルグループに居場所的な役割を求めるようになった」と分析。野球チームのように、メンバーが代わってもファンがグループ自体を応援するようになったという。

 仙台市出身の岩田は、オーディションの最終選考の直前に東日本大震災が起き、自宅で被災。AKB48のメンバーが涙を流しながら「皆さんの無事をお祈りしています」と話すのをテレビで見て「いるだけで元気を与えられる職業ってすごいな」と感じ、「人のためにアイドルになろう」と考えた。東北の被災地には何度も行った。ファンや地元住民の大声援や喜んでくれる顔を見て「なぜアイドルが必要とされるのか理解できたような気がした。ふるさとにささげた(在籍)五年間だったと思う」と話す。

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 AKBから派生し、名古屋を拠点にした「SKE」、大阪の「NMB」、福岡の「HKT」と地方に広がった。それとは別に、地方を盛り上げるための「ご当地アイドルグループ」も数多く誕生した。現在、全国に千以上のグループが活動しているとされる。

 その一つ、栃木県で活動する「とちおとめ25(にじゅうご)」は、二〇一〇年の上海万博で栃木の物産を世界に発信するため誕生。活動は地域の祭りなどでのライブが主で、多い時は年間三百件近いイベントに出演した。歌とダンスはオリジナルで「ご当地ラーメン佐野ラーメン ギョーザの街なら宇都宮!」など、県内の名物が次々と登場する。リーダーももか(21)の憧れは「栃木を代表するアイドル」元AKB48の大島優子(30)。「名前の通り二十五周年を迎えられるように頑張りたい」

 平成の終わりは「アイドル戦国時代」と呼ばれる時代。マスメディアへの露出より、ライブを活動の中心とする「地下アイドル」からヒットが生まれている。アイドル界の活況は姿を変えながら続いている。 (原田晋也)

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◆モー娘。第1期メンバー・飯田圭織「どの時代も皆 一生懸命だった」

 アイドルグループの先陣を切った「モーニング娘。」の第一期メンバーで二代目リーダーの飯田圭織(かおり)(37)に当時の思い出を聞いた。

 −モー娘。は頻繁にメンバーが入れ替わるのが特徴的でした。

 最初は「私たちの実力が足りないから新メンバー加入なんだ」って悔しい思いもしました。歌やダンスが毎回変更になるのでしんどかった。新メンバーとの意識の違いにも驚いた。私たちはもっと売れようというハングリー精神の塊でしたが、新メンバーはモーニング娘。に入ることを目標にしてきていました。

 −モー娘。以降、グループアイドルの時代が来た。

 それまでのアイドルは松田聖子さんやWinkさんなど、すごいカリスマ性があって「この世に本当に存在しているのかな」と思うくらいでした。私たちが最初に「近いアイドル」になったと思う。握手会もしょっちゅうしていましたし、オーディションを受ければなれるので、日本中の女の子にチャンスがあった。後のアイドル界にもこの「近いアイドル」という流れが広がったのかなと思います。

 −モー娘。は今年で結成から二十二年。なぜ、これだけ長く続いているのでしょう?

 どの時代もメンバーが一生懸命でした。他のアイドルがトップを走っていて、後輩がすごいプレッシャーを感じている時代もありました。でも、誰も諦めずに頑張ったから続いているんだと思います。

 

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