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【伝統芸能】

<落語最前線>立川志の春 風刺効いた「美しい組」

 三月十四日、東京・日比谷コンベンションホールで立川志の春月例独演会「TUESDAY NIGHT LIVE」を見た。志の春は立川志の輔の三番弟子。二〇一一年に二つ目に昇進し、この勉強会を始めた。

 一席目は知ったかぶりのご隠居が在原業平の和歌のデタラメ解釈を披露する「千早振る」。登場人物二人の会話だけで進行するシンプルな滑稽噺(こっけいばなし)で、力量不足の演者だと途中ダレてしまいがちだが、志の春は見事な語り口で楽しく聞かせてくれた。奇をてらわず、正攻法できっちり笑わせる技術を持っている。

 二席目は時事ネタの新作落語「美しい組」。志の春の新作は、作ろうとして作るというより、世の中のことをモヤモヤと考えているうちに落語になる、という感じなのだという。「美しい組」は二年前に作った噺(はなし)をリニューアルしたもので、誰かを思わせる滑舌の悪い親分(妻は私人)が主役。国会を騒がせている話題を巧みに盛り込んで、大いに笑わせる。風刺が効いた痛快な作品だ。

 最後はネタおろしの古典で「小間物屋政談」。先代三遊亭円楽がポピュラーにし、志の輔が独自の工夫を加えて磨き上げた大ネタだ。

 旅先で亡くなった大店(おおだな)の主人と間違われ、居場所を失った悲運の主人公を、大岡越前が名裁きで救済する。師匠譲りの大ネタを、志の春は笑いを交えて堂々と演じ、爽やかな余韻を残した。志の春の骨太の芸風は、この噺にぴったりだ。

 米国の名門イェール大学卒、一流商社を脱サラして志の輔に入門したという異色のキャリアを持つ志の春。立川流の昇進基準の「落語百席」も達成し、そろそろ真打ち昇進に向けて動きだすことだろう。活躍目覚ましい「談志の孫弟子」世代、人材は豊富だ。 (広瀬和生=落語評論家)

 

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