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【伝統芸能】

<評>伝えられていく芸と心 国立劇場「舞踊名作鑑賞会」

 東京・国立劇場の開場五十周年記念第百五十三回舞踊公演「舞踊名作鑑賞会」(三月二十五、二十六日)は二日間三回、全十五番を上演。一九六六年の開場以来、国立劇場の舞踊公演は、記憶に残る日本舞踊の名作を数多く上演し、その一つ一つが貴重な積み重ねとなり、新たな歴史をつくってきた。

 今回はその歴史と共に歩み、確かな伝統の継承と新しい創造への挑戦を常に続けてきた各流を代表する舞踊家たちが顔を揃(そろ)えた。中でも重要無形文化財保持者(人間国宝)である西川扇蔵は、自身が長年大切に踊り続けてきた「猿舞(さるまい)」(二十五日)を上演。奴(やっこ)姿で曲舞(くせまい)を舞う趣向の歌舞伎舞踊を、日本舞踊独自の手法である素踊りで十分にその世界観として表出させた。また、長唄と巧みに共鳴する正確な「間(ま)」の妙技は、日本舞踊の神髄を感じさせた。

 同じく人間国宝である花柳寿南海(としなみ)は、「黒髪」(二十六日)を上演。長唄ながらも短い曲「めりやす」に乗せて、最後に「積もると知らで積もる白雪」の歌詞で魅せた寿南海の佇(たたず)まい、そして舞台上における存在感は、芸の研さんに努めながら日本舞踊と共に生きてきた、いわば芸域を極めた舞踊家の人生そのものに見えた。またその姿は後進が目指すべき芸域への一つの指針を示したとも言えるだろう。 (小林直弥=日大芸術学部教授)

 

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