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【伝統芸能】

菊之助「試練、全力で臨む」 祖父追善の團菊祭「先代萩」で大役・政岡

 五月の東京・歌舞伎座で恒例となっている「團菊祭」が三〜二十七日に催される。今年は七代目尾上梅幸の二十三回忌、十七代目市村羽左衛門の十七回忌追善興行として上演。尾上菊之助(39)が夜の部(午後四時半開演)の「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」で女形最高の大役とされる乳人(めのと)政岡に九年ぶりに挑む。「祖父(七代目梅幸)も大事にしていた大役を追善でいただくのは試練。全力で臨みたい」と引き締める。 (安田信博)

 奥州・伊達藩のお家騒動を室町時代に置き換えて描く「先代萩」は、数ある伊達騒動物の中の代表作。お家乗っ取りをたくらむ執権仁木弾正(にっきだんじょう)と妹八汐(やしお)は、足利家の家督を相続した幼君鶴千代に毒まんじゅうを差し入れる。政岡の子・千松は日ごろの言いつけ通り、真っ先に食べて苦しみだし、悪事露見を恐れた八汐が懐剣で息の根を止める。涙も見せず一部始終を見守った鶴千代の乳人政岡は、亡き千松と二人きりになって初めて心情をさらけ出す…。

 「根底に母性を持ちつつ、武家社会の中で自らを律して子供を犠牲にしても忠節を尽くす。そこにこの役の難しさがある」と菊之助は打ち明ける。本音と建前の場面を演じ分けた祖父の政岡を「素晴らしかった」と振り返る。

 普段は温和だった祖父も、稽古のときはメガネを外し厳しい表情に一変したという。「繰り返し稽古して体に覚えさせることの大切さを教えていただいた」

 政岡の初演は祖父が三十六歳、昭和を代表する名女形の六代目中村歌右衛門は三十四歳だったが、菊之助は二〇〇八年十一月、戦後最年少の三十一歳三カ月で挑んだ。「型にはめこんでいくと芝居がうそに見えてしまう。(坂東)玉三郎の兄さんからは、武家の格式ばったせりふ回しにとらわれていると感情が入っていかないと助言された」と明かし、「二度目は初演を追い、慣れてしまうことが一番怖く、難しい。役の本質をとらえて勤めたい」と決意を述べた。

 昼の部(午前十一時開演)の「義経千本桜 吉野山」では静御前を演じ、佐藤忠信(実は源九郎狐)役の市川海老蔵と共演。チケットホン松竹=(電)03・6745・0888。

◆襲名続々、孫初お目見え…菊五郎「お祭り騒ぎ」

 團菊祭は九代目市川團十郎(1838〜1903年)と五代目尾上菊五郎(1844〜1903年)をたたえ、上演される。

 今年は十七代目市村羽左衛門の長男の八代目坂東彦三郎(74)が「初代坂東楽善」を襲名。その長男の坂東亀三郎(40)が江戸時代から続く由緒ある名跡を継ぎ「九代目坂東彦三郎」を名乗る。また、弟の坂東亀寿(38)が「三代目坂東亀蔵」、亀三郎の長男坂東侑汰ちゃん(4つ)が「六代目亀三郎」を襲名し、初舞台を踏む。夜の部「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」の劇中に襲名口上がある。

 一方、七代目尾上梅幸の長男の当代菊五郎(74)の孫で、女優寺島しのぶの長男寺嶋真秀(てらじままほろ)ちゃん(4つ)が菊五郎主演の「魚屋宗五郎」で初お目見えする。

 都内で開かれた團菊祭の記者会見で、豪華役者陣を束ねる菊五郎は「今年はお祭り騒ぎの集大成のよう。にぎにぎしい興行にしたい」と笑顔を浮かべ、真秀ちゃんの初お目見えには「父の追善興行に孫が出られるのはうれしいこと」と語った。

 

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