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【伝統芸能】

<新かぶき彩時記>「髪結新三」の青葉 ブームの万年青 キャラ示す

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 「目には青葉 山ホトトギス 初鰹(がつお)」は、初夏のさわやかさを表す句。新緑の美しさ、ホトトギスのさえずり、江戸っ子が珍重した初鰹の味が盛り込まれています。

 この句を地でいくような芝居が「髪結新三(かみゆいしんざ)」。江戸下町の風物が魅力的に描かれています。主人公のフリーの髪結(美容師)新三は、小粋でどこか憎めない小悪党。商家の娘を誘拐した翌日、新三の住む長屋にもホトトギスや鰹売りの呼び声が聞こえてきますが「青葉」にも注目。舞台上手側、新三の家の裏の植木棚です。子分の勝奴(かつやっこ)が植木に水をやり、新三がそれを眺める場面は、現在でも見られる下町の路地に植木鉢が並ぶ光景を思わせますが、ポイントは植木の種類。松や黄楊(つげ)に混じって万年青(おもと)があります。

 万年青は江戸期に大ブームをおこした植物で、さまざまな葉の形や模様を楽しむものでした。その一部は「万年青バブル」とでも言える投機の対象となり、現在の価格で数千万から一億円でやりとりされたというから驚きです。

 本来、長屋住まいには身分不相応ですが、高価な初鰹を買ったり、象牙の箸を持っている新三のこと。万年青ひとつからも見栄(みえ)っ張りで流行(はやり)もの好きなキャラがわかります。 (イラストレーター・辻和子)

 

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