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【伝統芸能】

<評>新緑の季節 あふれる活気 歌舞伎座「團菊祭」

 歌舞伎座恒例の團菊祭は七代目尾上梅幸、十七代目市村羽左衛門の追善興行。加えて初代坂東楽善、九代目坂東彦三郎、三代目坂東亀蔵の襲名披露、六代目坂東亀三郎の初舞台、尾上菊五郎の孫・寺嶋眞秀(まほろ)の初お目見得(めみえ)と、新緑の季節らしい活気にあふれる。

 昼の部「梶原平三(かじわらへいぞう) 誉(ほまれの) 石切(いしきり)」、彦三郎の梶原は面差しが祖父羽左衛門そっくり。声に深みがあって口跡がよく、六郎太夫に覚悟を促すせりふや物語に見えた実事師らしい篤実さが好もしい。楽善の大庭、亀蔵の俣野、市川団蔵の六郎太夫。

「魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)」は尾上菊五郎の宗五郎が極め付き。さらさらと流れるような自然な芝居に、せりふの一言一言が粒立って身にしみる。中村時蔵の女房おはま、団蔵の父太兵衛ほか、一座のアンサンブルに安心して身を任せられる快さ。

 「吉野山」はすべて義太夫で通し、舞台下手に滝車、中央の桜の陰から静(しずか)が出るやり方だが視覚的に煩雑。

 夜の部「寿(ことぶき) 曽我対面(そがのたいめん)」は、彦三郎の曽我五郎、楽善の朝比奈、亀蔵の近江。菊五郎初役の工藤にゆったりとした色気がある。幕切れに襲名の口上が付く。

 「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」の「御殿」は「飯炊(ままた)き」を省略。菊之助の政岡、中村歌六の八汐、中村魁春の栄御前。中村梅枝の沖の井、尾上右近の松島がいい。「刃傷」は幕切れに出る中村梅玉の細川勝元が堂々たる大きさ。松緑、亀蔵の「弥生(やよい)の花浅草祭(はなあさくさまつり)」は四変化を通して踊り抜く。二人のイキが合って抜群の軽さ・おもしろさで、爽快な打ち出しになった。二十七日まで。

 (矢内賢二=歌舞伎研究家)

 

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