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【伝統芸能】

「現代演出の決定版に」 木ノ下歌舞伎が四谷怪談

 歌舞伎の演目を真正面から読み解き、現代劇として表現する「木ノ下歌舞伎」が二十六〜三十一日、東京・東池袋の「あうるすぽっと」(豊島区立舞台芸術交流センター)で「東海道四谷怪談−通し上演−」を公演する。昨年に旗揚げ十周年を迎えた同劇団が、二〇一三年初演の舞台に再び挑む。

 上演時間六時間に及ぶ大作。監修、補綴(ほてつ)を担う主宰の木ノ下裕一(31)は「この演目の現代的演出の『決定版』のつもり。しっかりと人間を描きたい」と語る。同劇団のブレーンとして活躍してきた演出の杉原邦生(34)は、今公演でメンバーを卒業する。

 お岩が浪人の夫に裏切られる物語で知られる鶴屋南北の代表作。だが、背景には赤穂浪士の討ち入りを基にした「仮名手本忠臣蔵」の物語があり、お岩の妹を巡る情事など複雑に人間関係が絡み合う。杉原は「南北は群像劇の通し上演という前提で書いたのだから、有名な場面の抜粋では面白くない。一人一人の感情を粒だたせて、南北が書いた人々を現代の舞台上に生かしたい」と語る。

 初演と同じ全三幕を上演。通常はカットされやすく、当時の楽屋話なども書かれた「夢の場」も含め、テキストに忠実だ。邦楽とラップやテクノ、和服と洋服、歌舞伎の言葉と現代語が混在し、独創的な世界が広がる。

 古典研究を深める木ノ下と、ポップで刺激的な演出が持ち味の杉原。木ノ下が京都造形芸術大の先輩だった杉原と出会い、〇六年に杉原演出の「yotsuya−kaidan」で旗揚げ。現在は複数の演出家が作品ごとに参加する形態だが、特に杉原は「三人吉三(きちさ)」「黒塚」など数々の演出で“キノカブ”独自のカラーを打ち出してきた。

 杉原は近年、市川猿之助主演「スーパー歌舞伎II ワンピース」の演出助手や、東京・歌舞伎座で「東海道中膝栗毛」の構成も担当。演出家として表現力の強化にもっと集中したいと、前向きに同劇団の卒業を決めた。杉原は「いつか歌舞伎座で古典を演出できたら。死ぬまでに歴史を変えてみたい」と笑顔。「僕の夢は国立劇場の芸術監督。したい企画がいっぱいある!」と木ノ下。歌舞伎を愛する二人は尽きせぬ夢を語り合った。

 

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