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【伝統芸能】

<らくご最前線>若者引き込む「シブラク」

 六月十一日、東京・渋谷のユーロライブ(客席数百七十八)で「渋谷らくご」を見た。

 落語初心者の若者でも気軽に足を運べる落語会、という趣旨で二〇一四年にスタートした「渋谷らくご」(通称「シブラク」)は、毎月第二金曜から五日間で十公演の開催。若手中心の斬新なプログラムが若者に受け、従来の落語ファン以外のフレッシュな客層が通う会として注目されている。女性客の多さも「シブラク」の特徴だ。

 「渋谷らくご」は二時間で四人が出演する。柳亭市童、台所おさん、入船亭扇辰、古今亭志ん八の順で三十分ずつ高座を務めた。志ん八は秋に真打ち昇進予定の二つ目。芸歴二十八年の人気真打ち扇辰ではなく、あえて志ん八をトリにするのが「シブラク」流。昨今の二つ目ブームの震源地は間違いなく「シブラク」だ。

 市童は前座から二つ目に昇進して二年の二十六歳。江戸っ子が田舎侍にけんかを吹っ掛ける「棒鱈(ぼうだら)」を元気よく演じた。客席の反応の温かさは「シブラク」特有のものだ。

 おさんは柳家花緑の一番弟子。昨年春に真打ち昇進し、花緑の祖父五代目柳家小さん考案の高座名「台所おさん」を襲名した。マクラで大いに笑わせてから演じた「粗忽(そこつ)の使者」は、五代目小さんの得意ネタだ。

 「千早ふる」をサラッと演じて高座を降りた扇辰の後を受けて高座に上がった志ん八は、亡き古今亭志ん五の弟子。秋の真打ち昇進時に二代目志ん五を襲名することが決まっている。演じたのは間抜けな泥棒がだまされる古典落語「転宅」。堂々たる高座態度と確かな話芸には既に真打ちの風格があり、若い客層を見事に引き込んだ。

 これまで新作落語を売り物にしていた志ん八だが、志ん五襲名を機に古典に力を入れていくという。楽しみだ。 (広瀬和生=落語評論家)

 

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