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【伝統芸能】

<評>歌舞伎座「七月大歌舞伎」 海老蔵、息子と奮闘の夏

 東京・歌舞伎座の昼夜四演目のうち三本で七役を演じる市川海老蔵“奮闘公演”の趣。妻を亡くした海老蔵への関心、夜の部「駄右衛門花御所異聞(だえもんはなのごしょいぶん)」で長男堀越勸玄(かんげん)との親子宙乗りも共感を呼び連日大入りだ。

 「花御所異聞」は竹田治蔵作「秋葉権現廻船語(あきばごんげんかいせんばなし)」から四作家による補綴(ほてつ)・演出。お家騒動を軸に海老蔵が盗賊・日本駄右衛門、忠臣・玉島幸兵衛、将軍家ニセ使者、秋葉大権現の四役。駄右衛門が秋葉権現三尺棒の霊力を悪用、切り殺した侍を亡者に仕立て、早替(はやが)わりの立ち回りなどの趣向で古典劇をおおらかに楽しく再生した。

 領主弟と傾城(けいせい)の心中騒ぎを発端に、駄右衛門と幸兵衛との早替わりの立ち回りに続くお才茶屋の場が面白い。お才(中村児太郎)がお家横領をたくらむ分家の側室、幸兵衛の妻、かつ駄右衛門の配下という三つの顔に分かりづらさはあるが、人物造形に工夫がある。大権現と白狐(びゃっこ)(勸玄)の二人宙乗りでは物おじしない四歳児に場内が熱い。都では駄右衛門が天下盗(と)り、大詰めは海老蔵の駄右衛門と幸兵衛、大権現の早替わりと目まぐるしい。

 昼の部は海老蔵が「加賀鳶(かがとび)」と「連獅子」。鳶頭梅吉とあんま道玄の二役を初役で演じた「加賀鳶」はけんかに意気込む市川左團次、市川團蔵、市川中車ら顔触れがそろった。その中で貫禄の鳶頭、道玄は小悪党ぶりとコミカルな持ち味が生きるが、にらみ、寄(よ)り目(め)の多用が時には煩わしい。市川右之助が女あんまお兼で二代目市川齊入(さいにゅう)襲名披露。「連獅子」の親獅子の精は子獅子(坂東巳之助)より勢いが見られた。市川右團次の「矢の根」に晴れやかさと力強さがあった。 (森洋三)

 

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