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【伝統芸能】

<新かぶき彩時記>「忠臣蔵」の雨具 身分・立場の差も演出

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 江戸時代の雨具といえば傘に頭にかぶる笠(かさ)、合羽(かっぱ)、蓑(みの)、糸立てなど。マントにも似た合羽のルーツはポルトガルですが、日本では和紙や木綿に油を塗ったものに改良され、軽量なため旅の必需品でした。蓑はイネ科の植物を編んだもの、糸立てはワラなどで作られた粗末なむしろ状のものです。

 「仮名手本忠臣蔵」五段目は、これらの雨具がそろう珍しい場面です。主君の一大事に間に合わなかった塩冶(えんや)(赤穂)浪人の早野勘平が、腰元おかると駆け落ち後、雨上がりの夜の街道で元同僚の千崎弥五郎と出会います。原作の文楽では、この前半部分を「濡(ぬれ)合羽の場」とも呼びます。

 おかるの実家で猟師となった勘平は蓑笠姿ですが、旅姿の弥五郎は合羽を着ているので、この名があります。歌舞伎では弥五郎も蓑を着る場合「加賀蓑」という網つきのものを着用。偉い役人が用いるもので、勘平との立場の違いが蓑からもわかります。

 後に登場するおかるの父・与市兵衛は糸立て姿。勘平の討ち入り資金捻出のため外出した帰路、夕立にあった設定で、質素な庶民らしい簡便さ。与市兵衛を殺して金を奪う浪人・斧(おの)定九郎が持つのは破れ傘で、落ちぶれ感と凄(すご)みも演出しています。 (イラストレーター・辻和子)

 

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