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【伝統芸能】

少々過激に上昇気流 はじける春風亭昇々

◆「芸の教科書創る」

 落語界を席巻する若手二つ目ブームの一翼を担う春風亭昇々(しょうしょう)(32)の勢いが増している。現代的な好青年の外見とは対照的に、アクション満載の過激な高座で「アバンギャルド昇々」の異名も持つ。テレビのレギュラーも複数抱える売れっ子は「いろんなことに挑戦し、先人のまねではない独創的な、自分ならではの『芸の教科書』を創りたい」と熱く語る。 (神野栄子)

 「わ、わしゃあ、一九一七年生まれ」「何歳なの?」「に、に、二十三歳!」

 七月下旬、東京・池袋演芸場で、老老介護を題材にした新作「待ちわびて」を披露。百歳の男性と息子の妻とのやりとりを声を張り上げながら演じた。高齢者同士のかみ合わないやりとりで客席を大いに笑わせ、高齢者二人が互いを思いやる一席に仕上げた。

 入門から十年が過ぎた昇々の持ち味は、大きな声と迫力ある目の力、アクション交じりのパンチの効いた高座。古典も披露するが、爆笑を誘いながら人間味あふれる新作も多数手掛けてきた。

 高座のスタイルが「アバンギャルド=前衛的」と称されることに「僕はスタンダード(標準的)だと思ってますよ」と笑いつつも「笑わせるために表情や動きをどうするか考えている。だからアドリブも多くなる」と自身の芸風を分析。その結果、型破りではじける高座となり、さわやかなイメージで女性ファンも増えた。

 関西学院大で所属した落語研究会では、上方落語ではなく、後に師匠となる春風亭昇太(57)の創作落語にのめりこんだ。「新作はもちろん、師匠の古典『壺算(つぼざん)』はまくらもすべて面白く、衝撃を受けた」と振り返る。大学の友人が就職活動に励む中、「自分の世界観が描ける落語が僕の仕事」と考え、あこがれの昇太の門をたたいた。

 昇太からは毎月一本、新作の創作を命じられた。前座の二年目には昇太の許しを得て、前座仲間と新作の会を立ち上げた。発表した噺(はなし)は約八十本。「一回演じて(ウケずに)捨てたものが多いです」と笑う。

 「笑点」で人気の師匠からはあまり厳しく指導されたことはないという。ただ折に触れ「お金を払って聴きにくるお客さまに笑っていただけるよう努力しろ。それがプロだ」と言われてきた。いかに笑いを取れるか頭を巡らせつつも、力まず自然体で「なるようになる」と楽天的に構えた。

 のびのびと修業できたことで、大胆で明るい芸風が形になってきた。二〇一三年には、落語芸術協会の二つ目十一人でユニット「成金(なりきん)」を結成、ここで芸に磨きをかけた。

 それが認められ、今春からはテレビにも顔を出すように。BSフジ「ポンキッキーズ」(日曜午前八時)では進行役として出演し、コントや一発ギャグ、創作落語のコーナーも担当。テレビ東京「ミライダネ」(土曜午後十時三十分)ではナレーターを務めている。「間を取り、アドリブを効かせることもあるし、スピードやリズム感、抑揚もつける。落語との共通点もありますね」とテレビでの発見を喜ぶ日々だ。

 チャレンジを重ね、目指すは自由自在な高座。「はじけたカラーをもっと追求し、ウケる落語を一生懸命やる。若い人に聴いてもらいたい」 

<しゅんぷうてい・しょうしょう> 1984年11月千葉県松戸市生まれ。関西学院大卒業後、2007年4月に春風亭昇太に入門。「昇々」を名乗る。11年4月、二つ目昇進。

 9月1日午後9時半から新宿末広亭の「深夜寄席」で昇々が旗揚げしたネタ下ろしの会、同8日午後7時から東京・渋谷の「CBGKシブゲキ!!」で「実験落語neo」に出演。

 

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