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【伝統芸能】

自宅に本格能舞台 観世流・長山桂三「裾野を広げたい」

 観世流シテ方の長山桂三(41)が東京都世田谷区上野毛に新築した自宅に稽古場を併設し、一般の愛好家らに門戸を開き、能の魅力を教えている。「世田谷長山能舞台」と命名した稽古場は、建材や設備にこだわった本格仕様で、発表会やワークショップにも使用。長山は「能の裾野を広げたい」と意欲を見せている。 (神野栄子)

 引き戸を開けると、三間(約五・四メートル)四方の能舞台が広がり、すがすがしいヒノキの香りが漂う。木材は、室町時代に能を大成させた観阿弥ゆかりの三重県名張市から取り寄せた。横浜市青葉区から転居してきた長山は念願の専用舞台に「自分のアトリエであり、みんながちゃんとした稽古ができる場所」と喜ぶ。

 かつては自宅に本格的な稽古場を構える能楽師も多かったが、近年は都市部で広い敷地を確保するのが困難な上、特殊な建築技術も必要なことから、費用面で断念する能楽師が多い。

 長山は構想に約五年を費やし、自らの稽古場を持つという念願を実現。主宰する「桂諷(けいふう)会」には、小学生から高齢者まで約十人が新たに入会し、稽古に励む。

 能の見せ場で力強く踏む足拍子で小気味よい音が鳴るように、稽古場の基礎は一メートル以上掘り下げ空洞に。また、薙刀(なぎなた)なども振り回せるよう天井までの高さは約三メートルにした。天井からは150インチの電動スクリーンが下りてきて、プロジェクターで過去の実演や装束を映し出せるように工夫した。

 七月に宝生能楽堂で開かれた公演の六日前には、一般客を対象に「事前講座」を開催。プロジェクターを使って詳細な解説を施し、長男の凜三(りんぞう)(11)と二人で実技も披露した。二回の講座に三十数人が参加したといい「予備知識があれば、舞台の見方が変わる」と手応えをつかんだ様子。「スクリーンに謡の音階表を映して稽古もできる。子どものワークショップも考えたい。能をもっと身近にできるはず」と思案を重ねている。

<ながやま・けいぞう> 1976年兵庫県芦屋市出身。観世流シテ方長山禮三郎(れいざぶろう)の次男。故八世観世銕之亟(てつのじょう)、九世銕之丞(じょう)、父に師事。2003年「桂諷会」を発足。

 17日午後2時から東京・セルリアンタワー能楽堂で桂諷会若手能「海士(あま) 懐中之舞」。11月26日午後1時半から東京・国立能楽堂で桂諷会の本公演を開催。問い合わせは銕仙(てっせん)会=(電)03・3401・2285。

 

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