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【伝統芸能】

<歌い踊る切手>イザイホー(1969年) 「神の島」の神事芸能

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 「天孫降臨」と言えば、宮崎県の高千穂だが、実は、日本には、もう一カ所ある。沖縄本島の南東に浮かぶ久高島(くだかじま)だ。

 本島から船に乗れば、わずか二十分ほどの近さだが、沖縄中にあふれる観光客もほとんど来ない静かな島だ。

 周囲が約八キロの細長い島に、現在は二百七十人ほどが住む。昔は「男は海人(うみんちゅ)、女は神人(かみんちゅ)」という言葉があり、「サバニ」と呼ばれる小舟を操り、漁で生計を立てていた。

 「女は神人」というのは、この島が、琉球王国の祖とされる神の「アマミキヨ」が天から降臨した地であり、島全体が最高の聖域と位置付けられていたことに由来する。そのため、この島の三十歳以上の既婚の女は、例外なく神に仕える「神女」になる宿命を負わされていたからだ。

 この「神女」にだけ許されていた漁もあった。夜、海岸の洞窟に上がって来た「イラブー(ウミヘビ)」を捕まえ薫製にするのだ。「神の恵(めぐみ)」とされ、王へも献上された。

「神の島」と呼ばれる久高島=沖縄県南城市提供

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 「神女」になるための儀式は「イザイホー」と呼ばれ、十二年に一度行われてきた。その歴史は、六百年以上も遡(さかのぼ)るとされる。

 「イザイホー」の中には、独特の神歌や舞踊など神事芸能も交じる。

 しかし、島民の高齢化や時代の流れの中で、新たな神女のなり手がいなくなったことなどから、一九七八年を最後に「イザイホー」は、行われていない。

 その様子は、本土復帰前の琉球政府が発行した切手「民俗行事シリーズ」で知ることができる。

 (横浜能楽堂館長・中村雅之)

 

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