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【伝統芸能】

16年ぶり「三木助」復活 五代目「自分なりの芸を」

 「五代目三木助」になる桂三木男は落語ファンの期待を背負い、名跡を継ぐ。三代目は人情噺(ばなし)の名作「芝浜」などを得意とした祖父(一九〇二〜六一年)、四代目はシティーボーイとして鳴らし、多くの人に親しまれた叔父(五七〜二〇〇一年)。三木男は周囲の熱い視線を感じながら「自分なりの五代目の姿、芸をつくっていきたい」と誓う。

 「叔父の死がきっかけで落語の道に進んだ」と三木男は若き日の決断を振り返る。高校二年の時、四代目が自死した。二十六人抜きで真打ちに昇進してホープとして期待されたが、苦悩に満ちた人生だった。それまで落語に触れたこともなかったが、血が騒いだ。祖父、叔父の芸を一心不乱に聴き「高座で生きていくことを決めた」。大学を中退し、十九歳で入門した。

 とはいえ、前座修業の厳しさは身に染みた。落語家の血脈ながら着物のたたみ方すら分からなかった。「叔父も大変だったんだと感じました。私に『こんな苦労をさせたくない』という思いもあったようだ」

 そんな前座時代だったが、うれしいこともあった。鬼才の故立川談志さんに「俺はおまえのじいちゃんに稽古を付けてもらった。その恩返しだ」と祖父の十八番「芝浜」などを教えてもらった。談志さんからことあるごとに「ネタをたくさん覚えなさい」と叱咤(しった)された。それは今も大きな財産になっている。

 高座にかける噺は古典の約八十席。啖呵(たんか)を切る「大工調べ」、機知に富んだ大岡裁きが聴きどころの「三方一両損」、談志さんから教わった「五貫裁き」を得意にするなど、たくましく成長し、悲願の名跡を継ぐ。

 母小林茂子さん(62)は女手一つで三木男を育てた。三代目の長女で、四代目の姉でもあり「三木助三代」を見守ることになる。「父はいなせで粋、弟は芸に華があった。息子は恐れを抱かず、祖父の大ネタに挑んでほしい」と語る。

 五代目は「名を継ぐ以上は責任がありますから」と最近は「芝浜」を繰り返し稽古する。十七日午後二時から横浜にぎわい座で「三木男」として最後の独演会を開く。

 

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