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【伝統芸能】

悪の華2輪、咲かせます 仁左衛門 10月国立劇場「亀山鉾」

◆早替わり二役に挑む

 東京・国立劇場の「十月歌舞伎公演」で、実際に江戸時代に起きた仇討(あだう)ち事件を脚色した鶴屋南北作「霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)−亀山の仇討−」が上演される。同劇場での通し上演は十五年ぶり。好対照の悪の二役を早替(はやが)わりで演じる片岡仁左衛門(73)は「大好きな作品をまた東京でやらせていただき大変うれしい。これが最後になるかも、との思いで大役に挑みたい」と“悪の華”を咲かせる決意を語る。 (安田信博)

 元禄十四(一七〇一)年、伊勢国亀山城下で起きた事件が題材。武家社会で模範とされ、有名な「曽我兄弟の仇討ち」より十年も長い二十八年越しの仇討ちは「元禄曽我」と評判を呼び、さまざまな芸事の素材となった。「霊験亀山鉾」は文政五(一八二二)年に江戸・河原崎座で初演。浪人の主人公・藤田水右衛門(みずえもん)の残虐非道ぶりが描かれる。

 「色気と冷酷さ、華やかさと暗さ、陽と陰が入り交じって構成されたお芝居。見せ場も多く、退廃的な美、昔の錦絵を見ているような色彩感覚、芝居の色を楽しんでほしい」と仁左衛門は語る。

 卑劣な手段で追っ手を次々に返り討ちにして不敵な笑みを浮かべる水右衛門は、妖しい色気を漂わせる冷血漢。一方、水右衛門とうり二つの謎の男・八郎兵衛(はちろべえ)は遊び人風の小悪党。対照的な二役の演じ分けも見どころだが、仁左衛門は「理屈とか技術を特別考えることはない。自然と体が動いていく」と明かす。役の性根がしっかり体に染み込んでいるようだ。

 仁左衛門が初めてつとめた二〇〇二年の国立劇場公演では、一九八九年の同劇場公演でカットされた「駿州弥勒町(すんしゅうみろくまち)丹波屋」「駿州安倍川返(かえ)り討(うち)」「駿州中島村入口(いりぐち)」の三場が約七十年ぶりに復活。

 業火の中、水右衛門が棺おけを破って突然出現する衝撃的な演出で観客の目を楽しませた。自身も「最も好きな場面の一つ」という。雨を降らせたことでも話題となった舞台は、〇九年に大阪松竹座で再演され、今舞台は八年ぶりの上演となる。

 従来の五幕十場に対し、今舞台は終盤をテンポアップすることで四幕九場として上演するが、長丁場であることに変わりはない。「ある程度体力がないとできない舞台。今のうちに、ぜひ多くの方々に自分のお芝居を見ていただきたい」

 ほかに出演は中村歌六、中村又五郎、坂東弥十郎、中村雀右衛門、片岡秀太郎ら。公演は十月三〜二十七日。同劇場チケットセンター=(電)0570・07・9900。

 

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