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【伝統芸能】

<日本舞踊のススメ 阿部さとみ> なりきって晴れ舞台

 日本舞踊を習う醍醐味(だいごみ)は、発表会をはじめとした舞台での上演です。今回は、その魅力について記します。

 日本舞踊はバレエや演劇のように一つの大きな演目を大勢で上演するのではなく、一つの作品の主人公は1〜3人が基本です。皆が主人公なので群舞のように「その他大勢」になることがほとんどありません。演目は師匠と相談の上で、個々の実力の段階や、「ニン(その人の体格や人柄、雰囲気)」に合うかどうかによってふさわしいものが選ばれます。

 9月23日に東京・国立劇場で開催された「推薦名流舞踊大会」(東京新聞主催)で、花柳亜寿菜(あすな)さんが披露したのは「藤娘」。亜寿菜さんは大叔母の花柳寿恵幸(すえゆき)さんに師事し、研さんを積み実力をつけています。

 「藤娘」は大人気の演目で、藤の花の精が江戸の町娘の姿で現れ、恋心を踊るという内容。舞台一面に藤の花がびっしりと下がった美術。藤娘は藤の枝を担ぎ、藤の花の模様の衣裳(いしょう)を何度か着替えるなど、華やかで夢のような世界が展開します。亜寿菜さんの「藤娘」は、娘盛りの演者にぴったりの選択でした。

 舞台当日の楽しさは何といっても、白塗りなどの化粧をして、その役になりきること。さらに衣裳を着けて、鬘(かつら)をかぶり…と、普段の自分と全く違う人物になる変身の喜びがあります。

 さらに、お座敷や江戸の町並みなど、作品世界を彩る大道具が飾られた中で、その思いや情緒を描くのが踊りの妙味。恋する姫君や格好良い武士、粋な芸者など、その人物らしい動作を習い覚え、すてきな人物になりきる面白さ、それが舞台上演の魅力です。 (阿部さとみ=舞踊評論家)

 

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