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【伝統芸能】

<歌い踊る切手>翁・十三世片岡仁左衛門(1992年) 開場式に寿式三番叟

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 まだ記憶に新しいところだが、二〇一三年三月二十七、二十八の両日、五代目の歌舞伎座の開場式が華やかに行われた。開場式は二日間で四回行われたが、その度に「寿(ことぶき) 式三番叟(しきさんばそう)」が披露された。

 初回は、松本幸四郎の翁(おきな)、中村梅玉の千歳(せんざい)、尾上菊五郎の三番叟。その後も、当代を代表する役者たちが登場した。

 「寿式三番叟」は、歌舞伎シリーズで切手にもなっている。十三代目片岡仁左衛門の「翁」の舞台姿だ。仁左衛門は、一九二五年一月四日に行われた三代目歌舞伎座の開場式では千歳を演じている。

 歌舞伎座に限らず日本では、劇場の開場式に「寿式三番叟」は付きものだ。九十歳と長寿だった仁左衛門は、幾度も開場式に立ち会い、翁や千歳を演じている。ある劇場の開場式で、珍しく三番叟を演じた時は「すっかり緊張した」と随筆「嵯峨談語」に書いている。

 現在の「寿式三番叟」は、幕末に作られた「翁千歳三番叟」が元とされるが、歌舞伎では早くから能を模して「翁」が演じられていた。「翁渡し」という名で、顔見せ・正月興行などでも恒例となっていた。

五代目の歌舞伎座。この開場式でも寿式三番叟が演じられた

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 能舞台に似せ、舞台の背景には松も描かれているが、芸能として格上とされた能に遠慮して、鏡板ではなく「松羽目(まつばめ)」と呼んでいる。

 能と同様に、歌舞伎でも、千歳・翁・三番叟が舞うが、荘重な千歳や翁よりも、闊達(かったつ)で、滑稽味もある三番叟の方が、大衆的な歌舞伎には合っていたようだ。「雛鶴(ひなづる)三番叟」「操り三番叟」など数多くの「三番叟物」が作られた。 (横浜能楽堂館長・中村雅之)

 

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