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【伝統芸能】

<らくご最前線>「談志のDNA」真価 立川志らく

 十月七日、東京・練馬文化センター小ホールで「立川志らく独演会」を見た。五百九十二席が完売だ。落語の人気が低迷した一九九〇年代、「落語は古くさくない」と若い世代にアピールしたのが志らくだった。現代的なセンスを大胆に導入した志らくの新鮮な古典は、落語界に大きな影響を与えた。

 その志らくが今、昼の情報番組「ひるおび!」(TBS)の辛口コメンテーターとして人気だ。一般的な知名度が大幅にアップしたことで、独演会に来る客層も広がったと志らくは言う。

 一席目は「火焔太鼓(かえんだいこ)」。古今亭志ん生十八番としてあまりにも有名なこの噺(はなし)を、志らくは二つ目時代に全編オリジナルのギャグで作り替え、師匠の立川談志に「おまえの十八番」と言わしめた。

 二席目は、門閥のない大部屋役者が名題(なだい)に出世、「忠臣蔵」五段目の斧定九郎(おのさだくろう)を当たり役に作り替える「中村仲蔵」。芝居噺の名作だが、劇団を主宰する志らくは自らの演劇論を存分に盛り込んだ斬新な演出で二〇〇九年にこれを初演、サゲも独自に創作した。

 初演の完成度も高かったが、やるたびに志らくはこの噺を進化させている。今回も、定九郎のモデルとなる浪人と仲蔵との出会いのシーンなど、何カ所か新たな演出が加えられていた。

 仲蔵を引き立てた四代目市川團十郎が説く役者の心得など、数々の名せりふが印象的。中でも、「客なんて無知だ」と言う狂言作者に対しての「私は自分よりお客さんのほうが上だと思っている」という仲蔵の反論は、談志の発言を継承したものだ。

 「談志のDNAを継ぐ弟子」と自負する志らくの真価を見せつける、会心の二席。タレントとしての知名度を武器に、兄弟子の立川志の輔、立川談春に迫る快進撃が始まることを予感させた。 (広瀬和生=落語評論家)

 

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