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【伝統芸能】

<らくご最前線>「今が旬」江戸っ子の魅力 春風亭一朝ら三人会

 二〇一八年で芸歴五十年となる五街道雲助(くもすけ)と春風亭一朝(いっちょう)、芸歴四十九年の柳家小里(こり)ん。一七年十二月十一日、この三人の「雲一里(くもいちり)」という会を東京・日本橋劇場で見た。

 一番手で登場したのは粋でいなせな江戸落語の名手、一朝。一二年、弟子の春風亭一之輔の真打ち昇進披露興行に五十日間出演した一朝は、多彩な演目で連日観客を魅了。以来ファンが急増した。その若々しい活躍ぶりは「今が旬」と言えるほどだ。

 この日の演目は左甚五郎が主役の名工伝「三井の大黒」。若い頃に覚えたきり長らくやらなかったが、最近高座に掛けるようになったという。

 一朝の「三井の大黒」は棟梁(とうりょう)の政五郎がなんともすてきだ。おとこ気があって器も大きい。こういう江戸っ子の魅力を描かせたら一朝の右に出る者はないだろう。素性を隠している甚五郎のとぼけたキャラも楽しい。実に気持ちのいい一席だ。

 二番手の小里んが演じた「言訳(いいわけ)座頭」は、師匠である五代目柳家小さんの演目。大みそか、金の算段に困った夫婦が口のうまい富の市という老あんまに借金の言い訳を頼む。一本気な押しの強さで相手に「わかったよ」と言わせた途端、瞬時に態度が変わって「あ、どうもすいません」と逃げ帰る富の市の軽さが実におかしい。淡々と進む物語に観客を引き込む小里んの技量はさすがだ。

 トリの雲助は「芝浜」を、ことさらにドラマチックに演じるのではなくサラッと聞かせて、しみじみとした余韻を残した。この演目本来の魅力を引き出した、雲助らしい逸品だ。

 古典の名手が落語を聴く楽しみを存分に与えてくれる三人会。これが一回目で、次は三月八日の開催。年に三〜四回のペースで定例化する予定だという。すてきな落語会が、また増えた。 (広瀬和生=落語評論家)

 

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